ディフェンディングチャンピオン片山晋呉が、デュバルに挑戦状

　一晩で、“自分”を取り戻した。
　前日初日。デュバルとのラウンドを終え「彼は、僕とは違うスポーツをやっているってことが、よくわかったよ」と、ポツリとつぶやいた片山。
　300ヤードを超えるデュバルのビッグドライブ。18番では、「絶対に刻む」と読んだ、残り212ヤードの第2打を、4番アイアンで6メートルにつけてイーグルチャンスにつけられた。
　「ああいう想像にないゴルフをされるとね・・・。ひたすら“いいなあ、羨ましいなあ・・・”って、ただのギャラリーになっちゃった」

　米ツアーで戦う丸山茂樹にも、『世界ランク10位の選手たちは、ちょっと違うよ』と聞いていたから、パワーの差について、頭では、わかっているつもりだった。
　大リーグのオールスターに出場したイチローが、他のプレーヤーにサインを求めた気持ちも理解できた。
　片山自身、大会前には、昨年の全英オープンでデュバルと一緒に練習ラウンドしたときの記念の写真に、サインをもらっている。
　それでも、試合でのゴルフを間近で見せつけられて、改めて、そのカリスマ性に打ち砕かれた。
　「すごい迫力。とても勝てるとは思えなかった。諦めた部分が、たくさんありましたね」

　だが、昨年のチャンピオンは、くじけたままで終わらない。
　イーブンパー、37位に終わった初日の夜は「自分について、分析をした」という。
　「ティショットで曲げないで、グリーン近くまで運んで、短いクラブで絡めるのが僕のゴルフ。自分にできることに集中しよう、と」
　昨年のこの大会時より、「ショットのバリエーションも増えているしね」技術面の向上も、心の支えとなった。
　もう一度、自分の長所を思い返すことで、「吹っ切れました」と、自信を取り戻した片山は、心新たに2日目のスタートホールに立った。
　「今日は、“ボールを打つことなんて、歩くより簡単じゃない”という気持ちでやりました」と、マイペースのラウンドで、通算6アンダー5位タイまで浮上して、「最終日も（デュバルと）一緒にまわるよ」とキッパリ。
　「彼に近づくのは、容易なことじゃないけれど、それがいま、僕のやるべきこと。すべての細胞が、壊れるくらいの優勝争いで本気にさせたい」
　片山が、全霊をかけて世界ランク3位のデュバルに立ち向かう。

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