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東建コーポレーションカップ 2002
「最後まで、ブレーキをかけなかった」谷口徹、脅威のサンデーチャージ
“サンデーチャージ”も、タイガー並みだ。
16位タイからスタートの最終日。
前半、3番からの3連続を含む5つのバーディで、あっという間に、首位グループを捕らえた。
「朝は、ギャラリーが少なくて、面白くなかった。だから、少しでもたくさん、バーディを取って、ついて来させようと思ったんです。上位の選手のことも、ビックリさせたかった」
昨年の世界ゴルフ選手権『アクセンチュアマッチプレー』で3強。今年2月のニッサンオープンでは5位。
海外での経験と実績が、谷口の身に確実に、沁みついている。
「向こうでは、どんなにバーディを取っても、『もうこれでいい』はない。とにかく、攻め続けること。今日も最後まで、ブレーキをかけないで出来たことが、こういう結果になった」
通算13アンダーでターンした後半のインコースも、容赦ない。
10番のパー5で、アプローチをOK距離に寄せてバーディを奪うと、11番で右横5メートル、12番で手前2メートルを沈めて3連続。ライバルたちを、引き離す。
ラスト18番パー5では、「ちょっと読みすぎ。妥協も入ったかな」と、8メートルのイーグルパットこそはずしたが、これまた、16番からの3つ目のバーディで通算16アンダーとすると、もう誰も、追っては来られなかった。
ヒーローインタビューで、「予選落ちのピンチから、よくここまで来ましたよ」と、しみじみと話した。
大会2日目。13番までで3つボギーを叩いて、通算2オーバー。予選通過圏外までスコアを落とし、慌てた。
「開幕戦から予選落ちはショック」
ゴルフの状態は良かっただけに、このまま、おめおめとコースを去るのは、納得がいかなかった。
そのあと、執念の2バーディ。イーブンパーまで戻し、ギリギリでカットラインに食い込んだ。
その日のプレー後、すぐにスウィングに修正を加えた。
ついクローズになってしまうスタンスを、オープン目に構え直し、下半身リードで、プッシュアウトに打つイメージ。
引っ掛け気味のショットが、なくなった。
「これで、決勝ラウンドはかなり良いところまで、…トップ10くらいは入れる、と確信したけど。でもまさか、勝てるとまでは、思わなかったですね」
奇跡の大逆転だった。
年頭に立てた目標は、賞金王や、数字にはこだわらず、「とにかく、ひとつでもたくさん勝つこと」。
まずは1勝。
その姿は貪欲に獲物を狙う虎のごとく、谷口が、2002年シーズンを駆け抜ける。