Tournament article
東建コーポレーションカップ 2002
「春からトップは、縁起がいいね」単独首位の尾崎健夫
386ヤードの7番パー4で、第1打をグリーンエッジまで運んで楽々バーディ。豪快ショットで、ギャラリーを魅了する。
口調も滑らかだ。
「春からトップは、気持ちがいい。縁起がいいや、って感じだね」
「この冬は、つくしんぼのように耐えてきた。おかげで今年は、竹の子まで、成長できそうだよ」
独特の、ジェット節で、充実感を表現し、報道陣を笑わせた。
腱鞘炎、右足じん帯断裂、腰痛、肩痛、左手中指骨折…。ここ数年、度重なる故障に悩まされ、“怪我のデパート”と呼ばれた時期もある。
昨年は、持病の左ひざ痛で1年を棒に振った。
あの二の舞は踏むまいとの思いが、このオフ、ジェットを例年以上に、トレーニングへと駆り立てた。
1日プールで1000キロ歩行。
エアロバイクにまたがって約2時間、黙々とこぎ続ける毎日。
「今年は、いつもよりも、長い長い冬(オフ)に感じたよ。…いやあ、異常に長かったね。この長い冬を、俺は、つくしんぼのように耐えてきたんだ(苦笑)」
こんな軽口を叩けるのも、充実感の裏返しだ。
昨年は、苦悩の表情を浮かべ、足を引きずるようにして歩いていたジェットが、
「今は、スウィングのときも、ほとんど痛みを感じないんだ」と、7番パー4では、第1打をグリーンエッジまで運ぶ豪快ショットで、ギャラリーを魅了する。
このバーディを含む、6バーディを奪い、通算8アンダー、単独首位に、
「こんなに、開幕戦を楽しみに迎えられたのは、初めてだ。つくしんぼが、いきなり竹の子になっちゃったみたいなもんでね」と茶目っ気たっぷりに笑った。
1打差2位には、弟分である伊沢がつける。
「去年もテレビで見ていて、すごくうまくなったと思うし、手ごわい選手。人前で大声で言えるほどまだ自信はないんだけど、トイレかどこかでコソっとならね…(笑)」
ジェットが今はまだいえないと、喉の奥に呑み込んだ言葉は、「伊沢、やっつけてやる!」、だ。