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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2002
「こんな寒いの、初めてです!」
会場に来るなり、張が震え上がった。
「こんなに寒いの、人生で初めてです…」
母国、中国・広東省は、年間を通しておだやかな気候。
前日よりさらに冷え込んだこの日3日目の気温6℃は、張には、かなりこたえたようだ。
早速、「下着、タイツ、スラックス、レインウェア…パンツの4枚重ね(笑)」(張)に着替え、さらに、ポケットには2個の使い捨てカイロを突っ込んだ。
実は、この“カイロ”も、張には初体験で、「故郷では、多分、売ってない。日本はほんとうに、便利なものがたくさんありますよね…」と、しみじみ話して、スタートしていったのだった。
中にたくさん着込んだために、スイング時の動きの鈍さは、1番ティから、感じていた。
フロント9は、それに馴染めず、バーディ、ボギーと一進一退。
しかしそれも、後半のインコースでは徐々にフィーリングがつかめてきて、14番パー4では、グリーン手前10ヤードの第3打を、SWでチップイン。
難易度1位の最終18番パー3でも、手前13ヤードの第2打を、AWで直接放り込み、出場20人中このホールただ一人のバーディフィニッシュには、スタジアム風になったグリーンを、グルリと取り囲んだ大ギャラリーも、大興奮。
「たくさんのお客さんが喜んで下さって、すっごく気持ちよかったです」と、最後は、感動にうち震えた張。
通算7アンダーは、首位と9つも差があるが、「まだ、何が起こるかわからない…、明日はそういう気持ちでやれそうです」と、余韻にひたっていた。