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三井住友VISA太平洋マスターズ 2003

三井住友VISA太平洋マスターズ3日目コースレコード62をマークした室田淳が、2位と6打差の単独首位浮上

「朝から燃えていたんだ」
室田淳、記録更新の18ホール

この日3日目は、6位タイからのスタート。久々に上位での決勝進出に、昨晩のうちに、自宅で応援して くれている三女・三奈ちゃんに、電話で伝えておいた。

「お父さん頑張るから、テレビで見ていてね!」。

2歳9ヶ月になる三奈ちゃんは、いまでは、父親の仕事について理解できるようになっている。が、ここ 1ヶ月ほどは思うような成績が残せず、良いところを見せられていなかった。「それだけにね、今日は いちばん娘が喜んでくれていると思うと、それが何より嬉しいんだ!」と笑顔満面。

身につけた赤いベストが、この日の室田の気持ちを代弁していた。

26歳の矢野東、近藤智弘。20歳以上も離れた若い選手たちとのペアリングに加え、詰め掛けた大ギャラ リー。その中で、「朝から良いプレーをしたいと、燃えていたんだ」と室田は言う。

1番パー4で、ピン奥2メートルにつけてバーディを奪うと、波に乗った。

3番で手前3メートル、4番では奥1.5メートル、5番パー5は残り147ヤードから8アイアンで手前30センチ につけて3連続バーディだ。

カップに吸い寄せられるかのように、ボールがベタベタとピンにくっついていく。

ショットに不調を覚えて微調整を始め、ようやく納得できる球が打てるようになってきたのは、2週間 ほど前からだった。スウィングリズムとコースの攻め方。ラウンド中は、スコアのことより、「そうい う自分のイメージだけ」を大切にした。1打1打に集中し、そのとき選択したクラブを信じてアドレスに 入る。「そうしたら、今日は自然に旗(ピンフラッグ)に向かっていくイメージが作れたんだ」と振り 返る。

ハーフターンしても勢いは止まらなかった。

10番で2.5メートル、11番では50センチ。13番では手前6メートルを入れた。15番は1 メートル。16番パ ー4では1.5メートルにつけて、これを入れてコースレコードタイだ。

17番パー3では、あわやホールインワンの右3メートルのチャンスを外して新記録を逃したが、ラスト18 番で、きっちり決めた。

左バンカーから1メートル弱に寄せ、これを沈めてこの日10個目のバーディは、2000 年、当時アマチュ アだった宮里優作が記録した63を上回る62。記録更新の瞬間は、御殿場のクラブハウスも騒然だ。先に ホールアウトしていた練習仲間の加瀬秀樹も、思わず叫んだ。「室田さん、今週は腰が痛い痛いって言 ってたのに! いったい、どうなっちゃったの!?」。

午後からコースには冷たい霧が垂れ込め、グっと冷え込んだ気温もこの日の室田には気にならなかった 。最後まで、長袖ポロに赤いベスト姿のまま通した48歳。

「今日は、寒さも忘れてたよ。・・・何しろ、ずっと燃えていたからね(笑)!」。

最終日を残して6打差トップには、昨年のダイドードリンコ静岡オープン以来の優勝宣言はなく、「明 日も最後まで自分を信じ通すだけ」と、繰り返した。

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