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JCBクラシック仙台 2004
自身初のプレーオフに敗れて2位タイ、近藤智弘
自身初のプレーオフに敗れて2位タイ、近藤智弘
この日最終日は猛チャージ。ボギーなしの7アンダー64をマークして、ホールアウト時点で、3つ後ろの組の神山と並んで通算13アンダー、首位タイ浮上。アテストを済ませた近藤はその足で、すぐに練習場に向かった。プレーオフの可能性を残していたからだ。
だが、その数分後に17番で神山がバーディを奪い、混戦状態から頭ひとつ抜け出したことを知り、再びクラブハウスに引き上げてきた。「もう、プレーオフはない、と思ったんです」。
さらに18番で、神山が第2打を2オンさせたことを確認するや、靴を履き替え、普段着に着替え、帰り支度をしてロッカーを出た。
と、そのときすれ違った横田が言った。「近ちゃん、そんなことしてていいの? 神山、3パットのボギーにしそうだよ!」。慌ててもう一度ウェアを着直し、プレーオフホールの18番に向かったのだった。
その1ホール目。
7メートル、6メートルとそれぞれ長めのバーディパットを残した中嶋、神山に対し、近藤は1.5メートル。
先に打った中嶋が、チャンスを外して脱落したが、続く神山のパットは、ど真ん中からカップに沈んだ。沸き起こる大歓声の中、近藤は作戦を変えた。
距離は短くとも、この状況下で打つにはけっして易しくはないバーディチャンス。
「最初はジャストタッチで入れようと思ってた。けれど神山さんに先に入れられたことで、強めに行こうと」。その気持ちが災いしたのか。ボールは無情にも、カップを通り過ぎていった。
一度はあきらめた初優勝のチャンス。それが最後の最後に再び、転がり込んできたことで「逆に、これを生かそうとは思ったけれど・・・。今日は神山さんのほうに流れがあった。こればかりはしょうがない」。負けて悔しがるよりも、5打差11位タイからの猛追を、自信につなげたい。
加えて、初めての経験だったプレーオフ。「勉強になる部分が一杯あったし、ベストを尽くせたので満足です。これを生かして、また次のチャンスを狙っていくだけ」。今季のベストフィニッシュ2位タイを糧に、近藤の挑戦はこれからも続く。