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JCBクラシック仙台 2004

優勝インタビューで、神山隆志が思わずつぶやいたセリフは…

「本当に、僕が勝ってもいいんでしょうか」
優勝インタビューで、神山隆志が思わずつぶやいたセリフは…

まさか、外すとは思ってもみなかった。尊敬する中嶋常幸と、近藤智弘の3人で臨んだサドンデスのプ レーオフ。その1ホール目は中嶋が7メートル、近藤が1.5メートルのバーディパットに対して神山は6メ ートルの距離を残していた。

先に打った中嶋が外して一番に脱落したが、一方の近藤のミスは、考えられない。
「俺はこれを入れて、次に進もう」と、神山は思った。

前ホールの3パットの悔しさをもういちど思い出し、強気で打ったバーディチャンスは、大歓声ととも にカップに沈んだ。

思わず腰の下で握り締めたガッツポーズ。そんな神山にかたわらの中嶋が、そっと手を差し出して言った。

「あとひとホールは、覚悟しとけ」。「はい! つぎ行ってきます!」。気合をこめた握手で応えたのもつかの間、その目の前で近藤が、その短い距離を外したのだ。

近藤は、デビュー当時から初優勝候補の呼び声が高かった選手だ。かたや自分は、プロ7年がたってもまだシード権さえ取れていない。そんな自分が、激戦を制していま頂点に立っている。まるで人ごと のように神山は、「勝つことの難しさ、勝負の不思議さ」を思い知らされていた。そしてだからこそ、優勝インタビューで、こんなせりふがついて出てしまったのだ。

「こんな僕が勝ってしまって、ほんとうにいいんでしょうか・・・」。

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