Tournament article
カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2005
手嶋多一ウィとの同組ラウンドに、「異様な緊張感がありました」
この騒ぎに、同じ組で回る手嶋、横田には周囲の選手から「大変だね」「大丈夫?」という同情の声もかけられたが、「むしろ、今日は回りやすかった」と、手嶋は言う。
「みんなの目が、ウィちゃんのほうに行っているから。僕はシレっと、チャンスを入れたりして」。
前半の12番で下り10メートルをねじこむと、15番で4メートル。
18番パー5では、7メートルのイーグルパットも決めた。
喧騒を横目に、通算3アンダー3位タイの好スタートを切った。
スタート前から手嶋には、女子選手と回ることへの抵抗はなかったという。
「だって、一人の選手とだけ戦っているんじゃない。最終日となるとまた違うけど、一対一でやってるわけじゃないから。逆に、せっかく一緒に回ったんだから、3人でアンダーパーで上がりたい、という気持ちでしたよ」。
16歳ながら、1打1打高い集中力でのぞむウィには、英語が堪能な手嶋も話しかけづらく、「邪魔しちゃいけない、というような異様な緊張感もあった」と、打ち明ける。
人柄の良い手嶋らしい思いやりを見せつつ、一方で対抗意識もチラリ。
12番パー4のティショット。横田と揃って、ウィに先を行かれた。
ウィと練習ラウンドを回った韓国のY・E・ヤンには、「意外と飛んでいないよ」と聞いていたのに。
本番に強いあたりも、天才少女と呼ばれるゆえんか。
これには思わず、横田と目と目を合わせてそっと苦笑い。
「・・・あれで、やる気になったかな」。
12番での悔しさをひそかに原動力にして、スコアで上回ってひとまず面子を保った手嶋だった。