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ABC チャンピオンシップ 2006

片山晋呉「僕のだけ、外れましたね!」

大会週の25日水曜日。プロアマ戦のラウンド途中に出会ったツアーのスタッフに、片山はこんな挨拶をしたという。
「毎週、毎週、大変ですね!」。
「・・・いえいえ、プロのほうこそお疲れ様です」と、そのスタッフは返しそうだが、片山は真面目な顔でこう言った。

「ううぅん、全然ですよ。ゴルフは、僕の趣味だからね!」。

コーチの谷将貴さんと、とことん突き詰めるスイング調整も、血のにじむようなトレーニングも苦しい、と感じたことはない。

その視線の先にはいつも、世界があるからだ。

年末の世界ランク50位内に与えられるマスターズの出場権。
あの舞台に立つための“努力”を片山は、努力と呼ばない。
「趣味とか・・・日課とか? とにかく、毎年あの場所にいたいから。そのためなら何だってやる」。

そんな高い目標と日々の積み重ねと、またその裏づけがあるからこそ「逆転して勝つ」と、宣言できる。
そして、そのとおりに実現してみせられる。

確かに、Y・E・ヤンは強敵だった。
最後に追い詰められて、18番でのプレーオフ2ホールでティショットをいずれも右ラフに打ち込んだ。
「何やってんだ俺・・・」と、内心苦笑もした。

それでも「今日は俺の日」と最後まで信じて疑わず、2年連続の頂点に立った。

当ホームページ上で前日3日目に紹介した、上位5選手の最終日の運勢。
片山も、朝スタート前にたまたま読んだという。

占星術家の岡田尚修先生は「一番チャンスがあるのはヤン選手」との鑑定結果を出していた。
対する片山の週末の運勢は「あまり良くない」とも。

しかし最終日こそこの占いを覆し「僕が勝てたらカッコ良い」。
その一心で、この日1番ティに立ったという。

「・・・確かに、この週末はヤンさんも矢野くんもとてもツイていたけれど。でも、僕のだけは外れましたね!」。

ちなみに、鑑定中に岡田先生は「あまり良くない日にもきっちりとスコアを伸ばしてくるなんて。片山さんて、本当にすごい方なんですね」と、感心していたそうだ。

たとえ定められた運勢があったとしても、努力と信念で切り拓いていく。
片山の強さがここにある。

  • 表彰式終了後。赤いジュータンを片付けるスタッフを手伝うチャンピオン。

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