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三井住友VISA太平洋マスターズ 2006

横田真一「優勝争いとはまた違う緊張感・・・」

この日4位タイのインタビュー。席に座るなり、取り出したのはリップクリーム。真顔で唇に押し当ててつぶやく。

「水を、飲んでも飲んでも喉が渇く・・・。ストレスで、脂汗ももう切れてしまい、干からびてミイラになりそうです」。

この日2日目は4アンダー5位タイからのスタート。
上々の滑り出しにも、安心など出来るはずもない。
先週のアサヒ緑健よみうり・麻生飯塚メモリアルで、初日3位タイにつけながら予選落ちをしている。

それだけに「バーディ取っても、ぜんぜん嬉しくない」。
95年のデビューから11年間守ってきたシード権の危機に、油断などできるはずもない。
今年、現在賞金ランク76位はあと300万円ほど足りない。

シード権争いの選手たちにとっては、残るはあと2試合。
土壇場を迎えても、横田には「ダメならQTに行けばよい」とは割り切れない。

「QTは1週間で出場権を決めるけど、ツアーは28週で決まる。実力が出る。そこで合格できなかった、ということは、実力がなかったということでしょう」。

そんなこだわりがあるからこそ、「シード権を落としたら、ゴルファーとして死んだも同然」とか「シードのために、死ぬ気で頑張る」などといった深刻なコメントが出てくる。

今年、選手会長就任2年目。
信望の厚い横田を気遣う選手は多い。

ベテラン・中嶋常幸からは、とっておきの精神論を伝授され、深堀圭一郎は「しばらくの間、僕が会長職を引き受けます」と、宣言している。

プロ・アマチャリティトーナメントが行われた水曜日には丸山茂樹がわざわざ会場にやってきた。
朝スタート前の練習場での話し合いでは物足りず、夕方にはまた電話をかけ直してきてくれた。

周囲の心遣いをも背中に負って、渾身のプレー。
「優勝争いとは、また全然違う緊張感の中でやってます」。
今週は無事決勝ラウンド進出にも最後まで、笑顔はなかった。



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