Tournament article

フジサンケイクラシック 2007

連覇を狙う、片山晋呉

今週のフジサンケイクラシックは水城高校2年のとき、初めて出場した思い出のトーナメントだ。そして、会場が移って3年目の富士桜カントリー倶楽部はその15年後の昨年2006年、区切りのツアー通算20勝目をあげた思い出の舞台。

1年ぶりに帰ってきたコースは「昨年より、ラフが短い印象がある。去年までなら、グリーン周りからのパーセーブが難しかったが、今年は取りやすくなっている。僕には、どちらかというと有利じゃないコンディション」。
そう言って顔をしかめつつ、連覇への熱い思いは尋常ではない。

「連覇って・・・1年後にまた絶好調で来て勝つって、本当にすごいこと。だからこそ、ものすごい栄誉なこと」。
昨年のABCチャンピオンシップ以来自身4度目の快挙達成への意気込みを、前日28日に6年ぶりにあった皆既月食になぞらえて言った。
「僕も、ああいう神秘的の力を借りて頑張りたい」。

7月のWGCブリヂストンインビテーショナルと8月の全米プロ。海外2戦をこなし、これが約1ヶ月ぶりの日本ツアーとなる。
4月のマスターズから、ほとんど「出ずっぱり」だったが「これからしばらく日本で腰を落ち着けてプレーができるし、明日からの初日がかなり楽しみ!」と、声も弾む。

久しぶりの国内戦に備え、先週まで2週間の“夏休み”は遊び尽くした。
「サーフィンに、映画に、『ブラスト』という舞台も見に行った」。
その間、練習もトレーニングもいっさいしない。
「僕は、いつもそうやってゴルフへのモチベーションを上げるんだ」と、火曜日に行われた大会の前夜祭で15歳の石川遼くんに語ったそうである。

そんな片山には最近、とても歯がゆいことがある。
「若手選手が、僕に何も聞きに来ないこと」。
海外メジャーを経験し、世界の壁に打ちのめされて、「でもその差を埋めていくにはどうすればいいか。自分なりに工夫して、編み出してきた練習のコツがある」。
そこにこそ、3年連続賞金王の秘訣がある。

「僕みたいに、体も小さく典型的な日本人体型の選手が、どうしてトップを張れているのか。なんでみんな、それを知ろうとしないんだろう?」。
だからこそ、今週月曜日に練習場でばったりと顔を合わせながら、何も質問にこなかった石川くんには少しガッカリした。そしてだからこそその翌日、片山のもとに来ておずおずと話しかけてきた石川くんに「どうしてそれを、昨日練習場で聞かなかったんだ」と、たしなめた。
でもそれは、彼の実力を認め、期待しているからこそだ。

「確かに今は上手い選手が一杯いる。今の高校生は僕よりもずっと体が大きくて、30年後くらいには毎回メジャーで優勝争いするような選手がぞろぞろ出てくると思う。そんな選手たちが、僕と同じような練習を続けていったら、とんでもなく強い選手になれるのに」。
そう思うと、残念でならない。

「ただ漫然と球を打つだけじゃダメ。プレッシャーがかかったときの打ち方。最終日に崩れないゴルフがどういうものなのかを考えていかないと」と、片山は言った。
「そのためにも、もっと貪欲にならないと」と、若手選手に警鐘をならした。
「聞きに来てくれたら、何でも教えてあげる」とも。

今年、今大会に出場するアマチュアは5人。その全員が実力者揃いだ。片山が予選ラウンドで回るのは、昨年の本大会でベストアマチュアに輝いた永野竜太郎くん(東北福祉大学1年)で、180cm、85kgと恵まれた体格を持っており、ドライバーショットは300ヤードを超す大型プレーヤー。

「僕も昨年の全英オープンやダンロップフェニックスで本気で勝ちにきているウッズを見て、いろいろ感じるものがあったから。その経験が今のプレーに生きているから」。
だから、未来を担うジュニアたちもそんな自分を見て、感じて、大いに学んで欲しい・・・。
今週は、連覇をかけて放つ1打1打が彼らへのメッセージだ。

写真中=水曜日に行われたフジサンケイクラシック恒例のプロアマトーナメントの一場面。片山は俳優の中井貴一さん(中央)と終始笑顔のたえない和気藹々のプレー。

写真下=これまたプロアマ戦に出場していた松浦亜弥さん(左)とホールアウト後に談笑する片山。レッスンを通じて仲良しの2人は、ゴルフ談義にも花が咲く!
この日29日水曜日のプロアマトーナメントの模様は、9月2日(日)にフジテレビ系列で放映される予定です(13時35分〜14時35分)。

関連記事