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三井住友VISA太平洋マスターズ 2008
片山晋呉が大会初制覇
まさに、死にものぐるいで手に入れたばかりのツアー通算25勝目だ。憧れのベテランにそれすらも否定されて、ますます燃えた。
有言実行は、もはや専売特許。
今野をプレーオフで下し、逆転のツアー通算26勝目は「どうですか、中嶋さん」と得意満面。
念願の初タイトルを手に入れて、「これでようやく“永久シード入り”ですね」と、テレビカメラに向かって胸を張った。
最終日は首位と2打差からのスタート。前半こそ伸び悩んだが筋書きは出来ていた。勝負は過去にも数々のドラマを生んできた御殿場の最終18番だ。
昨年大会は、本人も4日間のうち3回も池に入れたと言い、「相当やられたホールだったから。ここで勝つために、あとは18番だけ」。
いよいよ今野を捉えたのもこのホールだ。
72ホール目の18番。グリーン左エッジから、池に向かって急激に下るアプローチは「プロにしか分らない難しさ」。完璧に寄せて首位に並ぶとプレーオフ1ホール目の18番は、先とほぼ同じ位置から今度はパターで1メートルにピタリと寄せて、ド派手なガッツポーズで勝ち誇った。
初日から続いていたボギーなしの記録がこの日の1番で途切れた今野に対し、片山は15番、17番のピンチもしのぎ、2日目から始まったボギーなしのラウンドを最後まで貫いた。
大雨が降りしきる悪天候も、終盤は濃い霧にのまれ、プレーオフも翌日に持ち越されるかどうかという波乱も静かに受け止め、ゲームが佳境を迎えるほど高い集中力を発揮して虎視眈々と絡め取った今季3勝目だ。
今年、今大会は賞金総額が5000万円アップ。優勝賞金4000万円を加え、2位以下を突き放したばかりか獲得賞金は1億7000万円を越えて、史上3人目(※1)の2億円越えも視野に入れた。
翌週発表の世界ランキングも30位台に食い込むのではと言われており、来年のマスターズもくっきりと見えてきた。
5月の日本プロで24勝目をあげて、10月の日本オープンでツアー通算25勝を達成。
史上7人目の永久シード入りを果たし、あと残る目標はツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」だ。
年間で、日本と名のつくタイトルを3つ以上獲った選手は過去3人しかいない(※2)。
「ぜひ、やってみたい」。
濃霧の中でもぎ取った勝ち星にも、新たな目標ははっきりと見えている。
※1)過去に獲得賞金2億円を越えた選手は・・・
1994年 ジャンボ尾崎(2億1546万8000円)
1996年 ジャンボ尾崎(2億964万6746円)
2001年 伊澤利光 (2億1793万4583円、海外の獲得賞金を含む)
※2)日本と名のつくタイトルを年間3勝以上あげた選手は・・・
1974年 ジャンボ尾崎(日本プロ、日本オープン、日本シリーズ)
1975年 村上隆 (日本プロ、日本オープン、日本プロマッチプレー、日本シリーズ)
1989年 ジャンボ尾崎(日本プロ、日本マッチプレー、日本オープン)
1997年 丸山茂樹 (日本プロ、日本マッチプレー、日本シリーズ)