Tournament article
The Championship by LEXUS 2008
近藤智弘は19位タイに
最終日を前に、「もう諦めた」と宣言したのは決して後ろ向きな意味ではない。
「入らない、と思ったらカリカリして余計にダメだから。ここはもう入らないもんだ、と開き直るんですよ、良い意味で」。
そして心の奥底で誓う。
「最後まで絶対に諦めない」。
ホストプロとして、最終日もできるだけ上を狙っていく。
熱狂的なファンの期待も裏切れない。
栃木県の病院で麻酔科の勤務医として働く鶴見友子さんは、近藤の18ホールに声援を送ったあと競技終了後に行われた丸山とのトークショー&チャリティオークションに参加した。
ポケットには、この日の朝下ろしてきたという1ヶ月分の給料が入っていた。
他のファンとの激しいバトルの末に、近藤が提供した愛用のキャディバッグをなんと15万円で競り落として「意外と安くて良かった」と、ホっと胸をなで下ろした。
ファン歴5年。
わざわざ北海道の大会まで駆けつけるほど心酔している。
スタッフに促されて進み出た18番グリーンで、「近ちゃんのどこがいいの」と丸山に水を向けられ「プレースタイルとか・・・すべてが好きです」と、真っ赤な顔で告白した。
「そこまで言われたら、ハグしなくちゃ」と丸山に言われた近藤に、肩を抱かれて記念撮影に収まって「嬉しくて、もう死んじゃうかと思った」と、鶴見さん。
ギャラリースタンドの陰で余韻に浸り、大事そうにキャディバッグを抱えるその手が細かく震えてい
た。