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中日クラウンズ 2008

近藤智弘「ホールインワンより優勝がいいな」

専修大学のアマチュア時代から数えて、11回の出場経験がある。しかも初回から数えて、1回も予選落ちなし。プロ9年目の30歳だが、ここ和合に関しては、すでにベテラン選手といっていい。そんな近藤が今年、和合で貫いているコース攻略は、「攻撃ゴルフ」だ。何度も痛い目にあって悟った。
「守るほど難しくなるのがこのコース。ボギーを恐れずどんどん行こう」。

そんな攻めの姿勢が奇跡の1打を導いた。
170ヤードの4番パー3でホールインワン。8番アイアンのティショットは手前から数バウンドでカップに吸い込まれた。

もともと、熱心なゴルフファンが多い大会だが今年は16歳の存在が、さらに拍車をかけた。
練習日からどこもかしこも大勢のギャラリーで埋め尽くされていただけに、石川遼が去ったいまは「昨日より人もまばらで、少し寂しいような気がした」が、実家のある東海市から車で約30分。

今週は“自宅通勤”の地元トーナメントを自らの手で盛り上げた。

快挙達成の勢いを駆って、ボギーなしの64で回って2位タイ浮上。
「遼くんが起こしてくれた波に乗って、僕らも行くべき。こういうチャンスを生かして、僕はもっともっと良いプレーをしないといけない」。
熱い思いで、戦線に加わった。
最終18番でピン左奥2メートルのバーディパットを決めてガッツポーズ。大歓声には、パターを高々と突き上げて答えた。

ラフからのショットは容赦なく跳ね返す。ガラスのような和合の高速グリーンに加え、この日はエッジから3ヤードが7ホールもあり、シビアなピン位置にも苦しめられたが「お客さんに、難しい顔を見せたくはなかったから」。
最後も全身で、喜びを表した。

期待の大きさも、ひしひしと感じている。
昨年結んだトヨタ自動車とのサポート契約は、今年からさらに3年の更新が決まった。
「僕だけじゃなく、今年はトーナメントを開催(※)していただいたり、遼くんと契約を結ばれたり・・・。ゴルフに理解を示してくださっていることが、ほんとうにありがたい」。
ここ愛知から、世界へと大躍進をとげたグローバル企業の後押しを受けて、発奮しないわけがない。
「明日はホールインワンよりも、優勝がいい」。
すぐに頭を切り換え、前を向いた。

※「The Championship by Lexus」は、11月6日に茨城県の大利根カントリークラブで開幕します。
※この日4番ホールでホールインワンを達成した近藤には主催者と、開催コースの名古屋ゴルフ倶楽部和合コースより、賞金30万円が贈られます。

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