Tournament article

ゴルフ日本シリーズJTカップ 2009

賞金レースを争う2人がまさかの……

全員出席の開会式ではリラックスした表情を浮かべていた遼・勇だったが…。この直後にまさかの展開が。
賞金レースを争う2人がまさかの最下位争いだ。この日初日は通例どおり、賞金ランキング順のペアリングは最終組での直接対決。

しかし、いよいよ成績順に組まれる翌4日(金)の2日目は図らずも、もっともスコアが悪いトップスタートで、再び顔をつき合わすことになった。
8オーバーは揃ってブービーメーカーに、「正直、この状況は予想していませんでした」と、苦笑いの石川。

池田は視線を落として「まあ、ひどいラウンドだったね」と、悲壮感を隠さない。逆転の賞金王には勝つしかない厳しい状況に、この日の天候が追い打ちをかけた。

朝からひどい雨に風と冷え込み。まして、右手に腰と、あちこち痛む身体は、アップダウンのきついコースで特に下り坂が堪える。

次第に右足を引きずるように歩き、グリーン上ではしゃがめない。
ライン読みはすべて全幅の信頼を置くキャディの福田央さんに任せて良いとしても、ショットは長いのよりむしろ、地面で叩くショートアイアンに影響が出て、だんだんまともにフィニッシュさえ取れなくなった。
「本当に今日は寒かったし、つらかったし、運もなかった」。

2番は手前のガードバンカーで大目玉だ。
渾身の力で脱出を試みたが手前のラフからダブルボギーを打って、「手が痺れた。俺がああいう流れで孔明さんや、遼にも悪いことをした」と、済まなそうに頭を下げた。
4番で、今度は石川がダブルボギーを打ったから、なおさらだった。

石川は、散らばるティショットに苦しんでいた。
4番は左の林に打ち込み、セカンドも木に当てた。
7番は、左の崖下。前足上がりのライでウェッジを短く握った第2打は、「打った瞬間にOBと分かった」。
84ヤード先のグリーンをはるかに超えて林に消えて、トリプルボギーに「怒る気力もなかった」。
そのあとも「傾斜ばかりから、グリーンを狙うことが多かった」。
計測ホールの12番では、まさかのチーピン。
171ヤードしか飛ばず、この日のドライビングディスタンスでも最下位に、近ごろ失敗に全身で悔しがったり感情をあらわにすることが多かった石川も、ただ苦笑を浮かべるしかなかった。

四苦八苦の末に、17番でようやくこの日初バーディにも「ほんとにスミマセンてな感じのバーディで」と、何の励みにもならない。
照明灯がたかれた最終18番のグリーンでも揃ってボギーで終わって、「池田さんも僕も、複雑な気持ち。冷たい雨の中、あたりが真っ暗になってもついて歩いて下さったギャラリーのみなさんの期待に応えることが出来ない。もどかしいまま終わってしまったラウンドでした」と、唇を噛んだ。

そして、ホールアウト後に直行した練習場では「1球目から、凄く良いスイングが出来る。これがコースで発揮出来ない。なんでかなあ」と頭を掻いた石川。

5位タイにつけた昨年の今大会を思い返すにつけ、「今年は最終戦で良いスタートを切りたい、と思いすぎていたかもしれない」と、反省点が見つかったら「曲がってもいい。ただ、良いスイングが出来ればいい、と結果を考えずにやったほうが良い結果が出る」と、原点回帰で出直しをする。
「今日のことは都合よく忘れてもう一度、新しい気持ちで上位を目指してやりたい」。

対する池田も「何が起きるか分からない。明日また、頑張れればいいんじゃない?」と、揃って巻き返しを誓っていた。

関連記事