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フジサンケイクラシック 2009

今季3勝目を狙う、石川遼

この日水曜日のプロアマ戦でチームを組んだ古田さん(右)とは同じアスリート同士、話も弾んで…
元プロ野球選手の古田敦也さんとチームを組んだ、この日水曜日のプロアマ戦。シーズン中の体重減について悩んでいた石川は、古田から「野球選手は体重が落ちることを想定して“貯筋”している。遼くんもやってみたらいい」といった、有意義なトレーニング講釈に耳を傾けつつ、迎えた570ヤードの3番で、改めて強い欲求を感じた。

「今年こそ、乗せたい!」。

昨年も毎日、直ドラで果敢に2オンを狙った。ティショットで打ち上げて、打ち下ろすパー5は「去年もそれほどに、届かせたかったんだな」と、照れ笑いつつ、「来年以降に、先延ばしたくない」と、今年もやっぱり豪快に狙っていく。

飛距離も、スピン量も精度もすべてにおいてショットの底上げがされた今年は「きっと、スプーンでも届くはず」。

ツアー初優勝を飾った一昨年は、そのあと初めて出たトーナメントが今大会でもあり、思い入れは強い。
ここ富士桜カントリー倶楽部はこれまで25回はラウンドしていると言い、「ツアーで一番好きなコース」でもあり、17位に終わった昨年は、最終日が終了した瞬間から早くも「開催が待ち遠しかった」のも、このフジサンケイクラシックだ。

中でも3番パー5での2オンは、この3年間の成長のあとを示すのに、もっとも象徴的なホールでもある。

また先週から新たなチャレンジにも踏み切っている。
史上最年少優勝を達成したマンシングウェアオープンKSBカップは17番で、バンカーから奇跡のチップイン。
昨年はツアー2勝目のマイナビABCチャンピオンシップでは最終18番で、劇的ウォーターショットを披露した。
そして今年はミズノオープンよみうりクラシックだ。16番パー5でチップインイーグルと、数々の名シーンを作り上げてきたアプローチで、決断。

小4から愛用してきた58度のウェッジを捨てて、60度のそれを投入した。誰の提案でもない。「自分で決めた。変えるべき時が来たと思った」。

今年3度のメジャー舞台を含む米ツアーで必要性を感じた。根が強い洋芝は球が沈みやすく、クラブヘッドが絡みつきやすいが、従来より2度開いている分、抜けが良く芝の抵抗を受けずに済む。

より高い球で、よりピンをデッドに狙っていける。
「米ツアーの選手は60度の選手が圧倒的に多く、ウェッジを3本入れている選手もいる。ふわりと柔らかいアプローチを見て、必要だと思った」。

立ち止まることを知らない17歳は、過去の記憶にとらわれず、さらに前に進むための選択を取った。
新しいセッティングで狙う今季3勝目。予選2日間のペアリングも、気持ちを大いに盛り上げる。
丸山茂樹と片山晋呉とのラウンドに、今月17日に迫った「誕生日プレゼントのよう」と石川。「これ以上ない組み合わせです」と声も弾む。

「魅力のあるプレーをされる2人に見入って左右されないよう、自分を持ってプレーしたい。大好きなコースで、自然体でプレーすれば、優勝争いは出来る」。
さあ、準備は整った

※この日、初めて17歳の18ホールをそばで見た古田さんは…
「思っていた以上に圧倒された。こんなスケールの大きな選手を見るのは久しぶりで、称賛の言葉が見あたらない。精度も高いし、すべてのことをそつなくこなしている。それはゴルフだけではなくて、振る舞いや話し方もそう。僕なんか、そつなくこなせるようになったのは、ようやく35歳になってからですから(笑)。野球選手もこれくらい、爽やかじゃないとね」

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