記事

ANAオープン 2009

山下和宏「谷口さんに悔しい顔をさせたい」

初シード入りを果たした今季はトップ10入り5回。幾度となく優勝争いに絡み、絶好調のゴルフが初めて途切れたのは、先のフジサンケイクラシックだった。

開幕から藤田寛之と2人で続けていた予選通過記録が途切れた。その前週のVanaH杯KBCオーガスタとの芝質の違いに戸惑い、パッティングがことどごとく決まらなかった。

その原因として、山下は「入れたい気持ちが強すぎて、ハンドファーストになりすぎている」と判断し、その克服につとめていた。

しかしなかなかしっくりいかず、悩んでいたときに、「いえいえ逆です。今の山下さんはヘッドファーストになってますよ」と今週の練習日に指摘してくれたのが、練習仲間の上平栄道(うえひらまさみち)だった。
「そんなバカな」と呆然と、それでも言われたとおりにしてみたら、これがまた面白いように入った。

ついでに、ショットでいくつかの指摘も受けて、すっかり調子を取り戻した途端にいきなりの優勝争い。

7月のサン・クロレラ クラシックでも優勝争いの末に4位タイ。もっとさかのぼれば実に6年ぶりの決勝ラウンド進出を果たした2006年のセガサミーカップもまた、道内の大会で「北海道のトーナメントは相性が良いみたいで」。
普段の高麗芝は、ターフを取らずにショットをするが、「ここでは気持ちよく飛んでいく。そのせいで、僕的にはスイングの加減がしやすいみたいで」。

パットと、ショットと、コースとの相性と。すべてがうまく合致して、今季3度目の最終日最終組は、いよいよ谷口徹との直接対決。

近頃、何かと山下を敵視するようになった先輩は、「山P(やまぴー)には負けんよ」といちいち宣戦布告してくる。
最近、赤丸急上昇中の山下だが「トップ10で喜んでるようじゃ何もならん」とか、「山Pは上手くても強くない。上手い選手は一杯いるよ」とか、「早くチャンスをつかまないと、消えていく選手は一杯いるから」とか、手厳しいことを次々と言ってくる。

実際、腹の立つこともあるけれど、「僕のことを思ってのこと。そんな谷口さんの言動が、良い意味の発奮材料になっている」という山下にとって、そんな谷口をぎゃふんと言わせることこそが、日頃の恩返しになる。

「明日は、慌てず騒がず、いつも通りのゴルフでちょっとでも谷口さんに、悔しそうな顔をさせられたら」。不動の心で、その背中を追いかけていく。

関連記事