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師弟(?)で誓った賞金王!!

「彼は弟子というより、扶養家族みたい」と笑ったのは、谷口徹。かたわらで、苦笑しているのは、その谷口を師匠と慕う松村道央だ。

20日(日)に最終日を迎えた「ジャパンゴルフフェア2011」。用具契約先が開いたトークショーに、揃って登壇した2人は美しき“師弟愛”を披露しつつも、戦いの火花を散らした。谷口は堂々と、松村は控えめに、賞金王への熱き思いを口にした。

谷口が、松村を恒例の宮崎合宿に誘ったのは、昨年のオフ。
2010年度はトータルドライビング1位を獲得したことからも伺えるように、松村は「飛んで曲がらない選手」とかねてから評判だった。

そこに目をつけた谷口は「彼に1ヤードでも追いつきたいと思うことで、僕自身の励みにもなると思った」とその理由を明かす。
「まあ、彼が僕に勝てるのは、飛距離しかないですけれど」とはいつものリップサービスの憎まれ口で、実は後輩思いで、面倒見の良い大先輩が、松村の才能をさらに伸ばした。

オフ合宿を通じて谷口のゴルフを間近にした松村は「勝負どころの集中力と、100ヤード位内のアプローチのうまさは世界NO.1」と、そのエキスを存分に吸い取った。

昨年10月の「コカ・コーラ東海クラシック」で念願のツアー初優勝を達成すると、さらに11月の「カシオワールドオープン」であっという間に松村は、2勝目を挙げてしまったのだ。

これに慌てたのが谷口だ。2勝目の次点で弟子に賞金ランキングで抜かれ、闘志に火がついた。翌週のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で藤田寛之と史上希にみる好ゲームの末に、2位につけ「これで松村を逆転出来たと思った」そうだ。

しかし、約580万円差で及ばず、松村は賞金ランク5位。谷口はそれに次ぐ6位に甘んじた。
「…去年は彼のほうが稼いだのだから、彼が払ってくれてもいいのに」。オフ合宿以来“弟子”との食事はもっぱら“師匠”の谷口持ちだ。
「合宿中の食事も全部、僕。松村くんは、“でも生涯獲得は谷口さんのほうがずっと上でしょう”と言って、なかなかお金を出してくれない。だから松村くんは、僕の扶養家族です」と愚痴りつつ、師匠として現状のままではおれない。

「今年は彼と2人で1位、2位を取ります」と谷口。
「ああ…でももちろん僕が“1位”ですよ」と付け加えることも忘れずに、後輩へのリベンジは、2007年以来自身2度目の賞金王獲りで返してみせると公言した。

対する松村も負けてはおらず、「僕だって2位よりは1位がいいです」と、ちょっぴり控えめに、でもはっきりと自身初の賞金王を狙うと誓った。
揃って世界の舞台も目指す。
「来年は一緒にマスターズに出よう」と谷口が言えば、「そうなれば夢みたい。実現したら、谷口さんにオーガスタで食事をご馳走したいと思います」。
かの地での日頃の恩返しを誓った弟子。今年はこの“師弟”関係から目が離せない……!!

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