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ANAオープン 2009

谷口徹が5打差の首位に

ボギーなしの66は、2位と5打差の通算16アンダー。大会はいよいよ最終日を残し、大量リードに自信満々かと思いきや、意外にも消極的だ。
「いやいや、これがウッズなら(勝率)100%だけれど。僕なら20%くらいでしょう。天気予報が当たるのと、同じくらいの確率です」。

いつもの「ビッグマウス」はどこへやら。ノリにノっているときは、気持ち良いくらい強気な選手が、今回ばかりは自分をつい低く見積もってしまうのも無理はない。

2007年の日本オープン以来、見放された勝ち星。
「明日もフェアウェーに置いて、グリーンに乗っけて、パットをねじ込む…。今日みたいに簡単にやれればいいけど。僕もかなり勝ってないから」と、珍しく弱腰だ。

過去2度の賞金王がしばらくなりをひそめている間、かわりに専属キャディが大活躍。清水重憲さんは、男子ツアーがお休みの週に女子ツアーバッグを担ぐが、すでに“今季2勝目”。
8月には上田桃子プロを勝利に導き、先週は日本女子プロ選手権で、諸見里しのぶプロの今季6勝目をアシストした。
特に、諸見里プロは現在約4000万円差をつけて、初の賞金女王は濃厚と言われている。

「まったく、清水は僕のエースキャディなのにねえ…」と、これにはつい愚痴も出る。
「僕が悪いから、キャディが光るのかな」と苦笑いで皮肉りながら、「でもさすが、女王の運気がついているのか、最近良いアドバイスをしますよ」とその“実績”には、絶大な信頼も寄せている。

特にこの日3日目は9番パー5で助けられた。エッジまで残り250ヤードの第2打で、清水さんが「手前のバンカーに入れてください、と…。確かにエッジとか、ラフよりもバンカーのほうがよっぽど楽に寄せられる。このアドバイスはさすがやと思いましたよ」。そう絶賛しながら、自画自賛も忘れない。
「まあ、言われてちゃんと、バンカーに入れる僕も凄いんだけどね」とニヤリを笑った。

連日の好スコアに本来の調子が戻ってきた。
後半から輪厚は冷たい突風が吹き荒れて、15番でお腹が痛くなるハプニング。ひとまずティショットを打ってから、近くのトイレに駆け込んだ。慌てて追いかけ、息を切らして打った5番アイアンの第2打を、ピンそば1メートルにつけてここでも自画自賛だ。

5打差で追いかける今季絶好調の山下和宏に「彼は上手いけど、まだ強くない。優勝するのは一人。彼には強い選手になって欲しい」とエールを送りつつ、「最後は彼に、悔しい顔をさせてやりたいと思う」と、軽くいなした。

最終日も大会4勝の中嶋常幸との最終組に、「ジャンボさんと同様に、その背中を追いかけてきた人。中嶋さんと優勝争いするのは、初めてなんです。楽しみですね」と、その充実感をしみじみと語った。

ホールアウト後に、その中嶋から「ナイスプレー!」と声をかけてもらった。
「嬉しかったな」とうっすらと頬を上気させ、「また明日も、そう言ってもらえるように頑張ろう」。最終日もツアー通算48勝の存在を励みにするつもりだ。

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