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谷口徹が今年も奈良県のジュニアゴルフスクールに参加

レッスン前の講義のタイトルは「勝つための準備をしよう2」。愛用のバランスボールを使って体幹を鍛えるトレーニング法を惜しみなく伝授した
“谷口サンタ”は今年も大忙しだった。イブはその直前に、もはやライフワークといってもいい。奈良県が生んだスターは今年も、地元の児童養護施設にプレゼントを届けた。恵まれない子や、親と離ればなれの子たちが暮らす。県内施設の9カ所に例年どおり、今季の獲得賞金の一部を寄贈した。

そして、クリスマスには長女・菜々子ちゃんと、1歳の桃子ちゃんと家族団らん。心楽しいパーティの余韻もさめやらぬまま、翌26日のこの日月曜日には、早朝から車を飛ばして“里帰り”。

奈良県ゴルフ協会主催の「冬期ジュニアゴルフスクール」。会場は、天理市のナパラゴルフクラブ一本松コースに、今年も特別講師として駆けつけた。

今季は10月のブリヂストンオープンでツアー通算17勝目を飾り、最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」ではまたしても藤田に勝利こそ譲ったが、共に40代2人の優勝争い。最後まで、その渦中で踏ん張った。世界ランクは現在60位の選手にそんな風に言われたら、誰だって舞い上がる。「前よりも、上手くなってるな」と谷口が声をかけたのは、奈良育英高校2年生の伊藤良樹くん。一瞬、耳を疑った。「前よりも・・・」。ということは、「僕のことを、ちゃんと覚えていてくださったんだ、と」。

「当たり前でしょう」と、谷口は言った。
奈良県高等学校ゴルフ連盟・顧問の杉本真美プロから「地元出身のトッププロとして、ぜひ特別講師に」との要請を受けたのは2007年。ふたつ返事で答えてから今年で5年目。
この時期の年に一度の恒例行事も、例年50人を超える参加者も、「毎年、来ている子のことは、ちゃんと覚えている」。

ツアー会場でも、これはと思う若手には自ら声をかけて歩く。近ごろではその成長ぶりを、ひそかにもうひとつの楽しみとしているベテランが、子供たちの大きな変化をみすみす見逃すわけがない。

200ヤードのパー3は、しょっぱなから5番アイアンでみごとピン奧のワンオンに成功した伊藤くんに「体幹もしっかりとして、ちゃんと軸が出来てきている」。
コースでの実践レッスンの前に、クラブハウスで行われる特別講義のタイトルも、今年は昨年に引き続いて「勝つための準備をしよう」のバージョンアップ。
“シリーズ第2弾”は、その内容も年々レベルアップして、「毎年、ここで谷口さんに教えていただくトレーニング法や精神論が、試合にも生かされている」と感謝する伊藤くんは今年、関西地区のジュニア大会で春・夏とも4位に入り、また11月の「全日本大学・高等学校ゴルフ対抗戦」では21位に。
全国レベルでめきめきと頭角を現しつつある。

会の終わりの挨拶で、ジュニアを代表してお礼の手紙を読み上げてくれた堀一統くん(奈良女子大付属小4年)は、マイクを通して問いかけた。
「谷口さん、僕たちは成長できているでしょうか・・・・・・」。
もちろん、ばっちり成長していますとも!!

美味しいカレーの昼食会で、席を並べた伊藤くんにも改めて伝えた。
「前より上手くなったね」。褒められて、ますますやる気の伊藤くんだが来年には大学受験を控えておりこの冬のジュニアスクールも、これが最後の参加となりそうだ。“卒業”にあたって伊藤くんは、心に決めた。
「いつかトーナメント会場で、谷口さんと再会したい」。

今回が、初参加の村中優太くん(奈良育英小3年)は、杉本プロが事前に集めた谷口への質問状にこう書いた。
「僕も谷口さんのように、プロの世界を経験したい。絶対にプロになるので待ってて下さい!!」。これはまさか谷口への挑戦状か、はたまた弟子入り志願なのか・・・・・・?!
「谷口プロに、追いつきたいです」と、村中くん。

武藤俊憲や松村道央、今年の新顔なら諸藤将次。女子プロの上田桃子さんらに続いて、わずか9歳の“新弟子候補”にはさすがの谷口も、「彼がデビューする頃は俺も53(歳)くらいかな」と、指折
り数えて苦笑交じりに、「その頃も、かろうじてまだ俺も頑張れてるかな?」。
こんな嬉しい悲鳴があるから43歳のベテランも、まだまだ気を抜くわけにはいかない。
  • レッスン会のトップバッター伊藤くんは「前より上手くなっている」と褒められますますやる気に!!
  • あいにくオフの練習で脇腹を痛めてフルスイングが出来なかったがその分「何かを掴んで帰って欲しい」と手取足取りのレッスンにも力がこもる
  • 「僕もプロになるから待ってて!」と、谷口に挑戦状(?!)を突きつけた村中くん。グリーンフォークとサイン入りボールのお土産に大喜び。
  • 代表して花束とお礼の手紙を渡してくれた堀くん。「僕たち、成長できてますか?」と。

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