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初日は日本が1対4でリードを許す(ミリオンヤードカップ)
日韓対抗戦「「MILLION YARD CUP(ミリオンヤードカップ)」」は開催4度目にして、日本代表が初の“ホーム”をしみじみと実感した瞬間だ。
両国の国歌斉唱。「君が代」をバックに、メンバー全員で国旗を見上げた。円陣を組んだ。最初の発声は最年長メンバーだ。前夜のチームミーティングで、全員一致で決まった。
「やめてくれ! 今晩、寝られへんやないか」との谷口徹の抵抗もむなしく、いざこの日を迎えたのは良かったが、日本チームには予行演習も、互いの根回しも足りな過ぎた。
「絶対に韓国に勝つぞ〜!!」と、谷口は声を張り上げたつもりだったが、「谷口さんの声が思ったよりも小さくて」(谷原)。
「それに、もっとセリフが続くのかと思ってしまった」とは、高山だ。
本当なら、「行くぞ!」「お〜!!」と、ここで全員の心がひとつになるはずだったのに、みな声を出すタイミングを逸して、ずっこけた。
この時点ですでに、日本チームは劣勢ムード?!
大会初日のフォアサムストロークプレーで勝ち点を持ち帰ったのは、わずかに1ペアだけだった。
1対4で、連覇を狙う韓国にいきなり3つのリードを許してしまった。
初日のフォアサムストロークプレーの結果
これはさすがのキャプテン青木にも、予想外。「負けても3−2くらいだろうと思っていたので。今日は当てが外れたのが2組ほどあった」と特に、青木は一番に期待を寄せていた谷口徹と藤田寛之の最年長ペアが負けて帰ってきたことにも落胆の色を隠せなかった。
「俺も悔しいのは悔しい。でも、選手たちを選んだのは俺だし、その選手たちが一生懸命にやった結果だし、一番悔しいのも選手たちだから。頑張った選手たちを、俺は信じてやりたい」と、青木は言った。
初日の惨敗に、負けた4組の選手たちは、みなそれぞれ「明日はペアを変えて欲しいという顔をしている」と、青木は感じた。
しかし意外にも、2日目のフォーボールストロークプレーに備えて青木が組み替えを断行したのは、2組だけだった。
この日、唯一の勝ち点を持ち帰った近藤共弘と藤本佳則。この勝利チームを、青木はあえてバラして近藤は、昨年も負け知らずだった高山忠洋との同級生コンビに。
藤本は、11歳先輩の谷原秀人との東北福祉大のOBペアとした。
青木は言う。
「負けたんだから。おまえらプロなんだから。明日も同じペアで、しっかりリベンジして来い」。
それはある意味、キャプテンとして大きな賭けである。
この荒療治で選手たちに火がつくか。または、余計に負け癖をつけて帰ってくるのか。
これで連敗したら、世間はきっと言うだろう。キャプテン青木は重々承知だ。それでもあえて、そう決めた。覚悟は出来ている。
「負けたら俺のせいだから」。
たとえ責められても、逃げも隠れもしない。2日目のフォアボールストロークプレーも堂々と、この組み合わせで行く。
2日目のフォアボールストロークプレーの組み合わせ