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東建ホームメイトカップ 2015
谷口徹が4位タイ浮上に「がつがつしなくてもいける」
前半こそ伸び悩んだが、後半は10番で「下から良いのが決まって、流れが来た」。6メートルのバーディを決めて、スイッチが入った。「今日はドライバーも良いし、アイアンもぶれないで打てた」と12、13、そして15番はいずれも3メートル以内のチャンスにぴたぴたつけて、上昇ムードだ。
初日は、今年初めて宮崎合宿で“入門”した市原弘大が単独首位に立って「下手だったのに、うまくなったね」。
2日目にはその市原が、強い風にスコアを崩せば「メッキが剥がれたね」。そして3日目はひとつ年下の桑原克典が、谷口とは2打差の8位タイ浮上に、「僕とのレベルの差を感じたのかと思った!」。
先週は、ツアー外競技の岐阜オープンでも最終日最終組で回った。「桑原くんも、途中まで良いゴルフをしていたけど」。ぶっちぎりの圧勝で、ぎゃふんと言わせた。
このオフは、生まれて初めての肉体改造で、「若返った」と自画自賛。現在、ツアー通算19勝に、目下の目標は永久シードの25勝かと聞かれれば、「そんなところを見ていたら達成出来ない。もっと上。5年後にピークをもってくる」と血気盛んに「松村(道央)とは、いつかキャリーで勝負する」。
飛ばし屋の弟子にも対抗心メラメラで、「僕が飛ぶようになったら、あいつにアドバンテージは何もない。むしろハンディをあげんといかん」と、高笑いだ。
憎まれ口の応酬も、計算ずくだ。誰よりも後輩思いで、誰よりも、ゴルフを愛する男は「本気やないよ。リップサービスで言ってるだけで。そう言ったら面白いかな、と」。ツアーを盛り上げたい気持ちで心はいっぱい。
そんな谷口をふるくから知る桑原は、「あの人は、熱くなっているようで、ものすごく冷静な人」と尊敬のまなざしを送る。そして谷口も、桑原をして「どんなに成績が落っこちても頑張っている。思いだけじゃ、なかなかあれだけ続かない」と、仲間へのリスペクトも忘れず、「今の自分なら、がつがつしなくてもいける。明日もうまく自分をコントロールしながら、スコアをまとめていかなければいけない」。いくつになっても揺らがぬ信念こそ、この人の強さの秘訣だ。