最後は、これでもかとガッツポーズを握った。一度、アドレスをしたときに、ギャラリーの方の声が気になった。妥協せずに仕切り直した。もういちど、気合いを入れ直して５メートルのチャンスをねじ込んだ。
どうにか首位と１打差の３位に踏みとどまった。

渾身のシーンは、しっかりとテレビカメラにも収まった。
しかし、前半は珍しく、弱気に「うちの組は撮らないで」。
そう懇願したくなるほどに、ショットが「左に曲がりっぱなしだった」という。

風の影響と、「練習場では良いフェード」。
しかし、いざコースでは苦戦した。

２番は、「ティショットが低すぎた」と、木に当ててボギーを打ったあとは、パーでしのぐので精一杯。
それは同組で回った山下和宏も、李京勲も同じで「うちの組はひどいんで、カットして」と極力、写して欲しくはなかった。

それだけに、後半３バーディの盛り返しにはなおさら胸をなで下ろす。

「最終日は藤田くんと、優作と最終組で回りたい回りたい」。
その目論見はかなわなかったが、相変わらず混戦模様には変わりない。
「明日は一番良いプレーをした人間が勝つ。それが自分になるように。きっちり調整して臨みたい」。
連覇のチャンスは消えていない。

• 谷口 徹
• 山下 和宏