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小平の披露宴には行けなかったけど・・・谷口徹が地元奈良県のジュニアスクールに参加(12月25日)
谷口徹が毎年、クリスマスのこの時期のライフワークとしている奈良県ゴルフ協会主催の「冬期ジュニアゴルフスクール」の参加は谷口が、これはと思う若手を連れて出かけるようになってから数えれば、3度目になるが昨年は、同じ奈良出身の若い藤本佳則を伴うなど、なかなか武藤は呼んでもらえなかったのだがそれも実は、師匠の心配りと知っている。
「僕にはけっこう、気を遣ってくれる。優しい師匠なので」。オフにまで、弟子の手を煩わせたくないという谷口の思いやり。「言ってくれればいくらでもお手伝いするのに」と思えばこそ、家族とのクリスマスパーティもそこそこに、今年は張り切って馳せ参じて改めて、師弟の絆を深めた武藤。
「尊敬するプロは誰ですか?!」。参加39人の県ジュニアからの質問にも迷わず答えた。「もちろん、いま隣にいる谷口プロです!!」。今回の講師役の他にも長年にわたり、地元の福祉施設への寄付を続けていたり、この会の最後の子どもたちへのサプライズのプレゼントも、トーナメント会場で、谷口自身が後輩のプロたちに、自ら声をかけて歩いて準備をしたものである。
少しでも子どもたちに喜んでもらおうと「遼くんにも、もらってきたよ!」と誰より本人が嬉しそうに、集めたサインボールを入れる金色のお楽しみボックスも、実は谷口のお手製だ。
弟子の尊敬に値するその生きざま。
スクールの司会進行役の杉本真美プロも知っている。「試合のときは、ピリっとされてる谷口プロ。でも実は、子どもがとってもお好きで、大変に心優しい方!」。
口々に褒められて、照れた。今年も天理市にある、ナパラゴルフクラブ・一本松コースでのこのレッスン会でも、寒風の中で頑張った。
前日のクリスマスイヴは、小平智と美保さんのせっかくの結婚披露宴もやむなくドタキャンしたほど。底冷えの寒さは急性の胃腸炎からの病み上がりには余計に堪えたが、子どもたちの前ではとりわけ明るく振る舞った。
子どもたちとのガチンコ勝負も気合いが入った。得意のパット講習会にも、熱がこもった。
かたわらで、興味津々聞いていた武藤も思わず言った。
「谷口さん! そんなの、僕でさえまだ教わったことがない!!」。
一番弟子にもまだ伝授したことがなかった“秘伝”をつい、うっかり(?)明かしてしまってうろたえた谷口。「今日一番、来て得したと思ってるのは木下じゃないか?!」。
来季の出場優先順位を決める今月のファイナルQTで3位につけた。木下稜介は、実はこのジュニアスクールの一期生だが「僕が入ったころにはまだ谷口さんは参加しておられなかった。こんな恵まれた環境で、教えてもらえる子たちが羨ましい」と、2013年のプロ入りを契機に今度は“助っ人講師”として、レッスン会に顔を出すようになった。
4年ぶりに、再びツアーの出場権を取り戻して来季こそ、初シード入りを目指すこのオフ、木下には今回の参加には特に、ひそかな目論みがあった。
谷口の宮崎での恒例のオフ合宿。「ぜひ僕も参加させていただきたい」とレッスン会の合間に直談判。
快諾を取り付けたばかりかこの日も少しでも、谷口イズムを盗もうと、トレーニング法やオフの過ごし方など、子どもたち以上の熱心さで谷口に質問をぶつけていた木下。
「年末のお忙しい時期にもかかわらず、今年もまたこうして、駆けつけてくださった。谷口さんと、武藤さんにも。スクールのOB代表として、僕からも心からお礼を言わせてください!!」。
そんな木下をはじめ、地元奈良から続々と“後継者候補”が誕生していることは、ベテランにも何よりの励みである。小4からこのジュニアスクールに参加しているという鈴木陽彩(ひなた)さんは今年、国体の県代表に選出されたばかりかまだ高校1年生ながら、女子ツアーにも挑戦するなどメキメキと腕を上げている。「谷口さんに教えていただき苦手なパットも好きになれた。今日、この場で谷口さんにその報告をすることが出来て心から嬉しい」と、鈴木さんから直に礼を言われてベテランの心にまた火がついた。
来年2月10日の誕生日にいよいよ50歳を迎えるが「僕もまだまだレギュラーツアーで頑張る!」。
賞金ランク80位に終わって消沈したあの昨年の、切ない年の瀬もどこへやら。シニア入りを目前に、ますます元気な谷口である。