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谷口と藤本が、奈良県冬期ジュニアスクールに参加(12月26)
また4年ぶりに参加した藤本佳則にとっては結婚、出産に追われたこの4年。
今年はやっと予定をつけて、2人とも本当に久しぶりに地元で顔を合わせて報告しあった互いの子どもの成長ぶりもさることながら、この日参加してくれたジュニアたちの著しさには、目を見張るばかりであった。
早くも4年後の“東京”を見据えた県下の強化選手に選ばれたという津田浩平さんと、永田加奈恵さん、田中裕基さんが今年、県内外でおさめた顕著な成績の数々を、2人のプロにも報告してくれた。
それぞれ小学生や幼稚園時代にこのジュニアスクールで、谷口や藤本にお手本を見せてもらったことが、間違いなく大きな糧になっていると口々に言ってくれて、2人とも本当に嬉しかった。
谷口も藤本も、オフはあえてほとんどクラブを握らない。それだけに、この日の講習会の前半はクラブハウスのレストランで、2人のプロが、東京五輪で金メダルを獲ったと想定して子どもたちが報道陣になりきり、質問をぶつける一問一答の仮想インタビューこそ盛り上がったが、そのあとコースに出てからのアプローチとパター合戦は不安でいっぱい。
「・・・全然練習してない。当たるかな」とベテランの谷口。
若い藤本も、「トップしたらどないしょう」と最初こそ、なんとも頼りなかった2人の講師も体が温まってくると、グリーンの外から直接カップに入れたり、すぐに勘を取り戻して子どもたちの前で、大人げなくガッツポーズを握ってみせた。
このジュニアスクールに戻ってくるまでは、ちょっぴりテンションが低かった2人のプロ。
賞金ランクは80位終わった谷口も、同15位の藤本も「今年は、プロになってから、最悪の成績だった」と、揃って気まずい思いで子どもたちの前に立った。
特に谷口は、司会進行役の杉本真美プロに「お2人とも、4年後の東京オリンピックを目指してくださいますね?」と聞かれても「俺は・・・ダメですね」と、つい後ろ向きな答えしか出来なかった。
それこそ「我こそが日本代表に」と、4年後を見据えて一念発起の昨オフは、とことん体を鍛え直して、練習にも例年以上に取り組んだ。「それなのに、今年はこんな結果に終わって・・・」。少なからず、ショックを受けた。
「今年はまた、いろいろ考え直して頑張る」。プロの技の数々に、目を輝かせる子どもたちの無垢な姿にも元気をもらった。「みんな本当に、ゴルフが好きな気持ちが伝わってきて。今日は、久しぶりにみんなに会いに来て本当に良かった」。
「4年後は年齢的にもプロとして、非常に良い時期。僕も、東京を目指す」と、このジュニアスクールの一期生でもある藤本も、やはり4年後を見据える子どもたちの前で奮い立った。
今年末のファイナルQTでランク34位につけて、来季ツアーの出場権を取り戻した木下稜介も、当スクールの出身者として駆けつけ、この日のレッスン会を手伝った。
奈良でも、明日の五輪候補が続々と育っている。
ベテランも負けてられない。
谷口徹、来年2月で49歳。シニア入りまで、あと1年だが「小平智っていう、若い選手がいる。なんとか彼を、やっつけたい」。
そのためにも、“デビュー”は当分お預けだ。
「まだまだレギュラーで頑張るぞ!」。底抜けの対抗心こそ若さの秘訣だ。