後半から３つのボギーで、一時後退にも強がった。「空気、読んどきました」。前日初日。同じ契約先の藤田に対抗心を燃やした谷口は、「ヤマハでワン、ツーフィニッシュをしたい」と言った。それを藤田にダメ出しされた。

今週は、ブリヂストン主催の大会に、「谷口さん、空気読まないと！」と、とがめられて、はっとした。
「今週は、ブリヂストンオープンですね」と殊勝に、一度は息をひそめた。

それでも要所要所で「本性が出た」。
８番パー３。
同組で回る宮里優作が、左のラフからみごとなロブショットを放ってチップイン。
やはり久保谷も、谷口より先に長い長いバーディトライをねじ込んだ。
最も近い1.5メートルにつけていた谷口が、ひとりぽつんと残された。
「俺だけパーは絶対イヤだ。絶対に入れる」と入れ込んだら、なんとバーディチャンスと同じ距離分だけボールはカップを行き過ぎた。
これにはがっかり。

この借りは、最後にきっちり取り返す。
16番で、バンカーからＯＫバーディを奪った。
そして最後は18番で、２メートルのチャンスもきっちり決めた。
あとから打った宮里は、ほぼ同じくらいの距離を外した。
「優作にはラインを見せてあげたのに。俺のパットが強すぎて、タッチが分からなかった、と。優作くんも、上手くなっていたけど、ツメは甘かったね」と、高笑い。

「僕は谷口さんだけが唯一のモチベーション」と語った藤田寛之。
目下、賞金ランキング１位を走る“標的”にも「お前なんかには、まだ負けない！」。
言い放ってから、はっと気づいた。連覇がかかった週末も「空気、読みます」。
そうは良いながらも、「最後は逃げ切る」。
今年も袖ヶ浦で、主役の座を譲る気など、さらさらない。

• 谷口 徹
• 宮里 優作
• 藤田 寛之