Tournament article
中日クラウンズ 2012
山下和宏はパターの試行錯誤の末に
「簡単に打って、簡単に入れた」。
自分はといえば、開幕から特に短い距離のパッティングに悩んでいて、「読めない、打てない。負の連鎖。パターのデフレスパイラル」に陥って、まだ今年3戦目というのに、使ったパターはすでに4本目を数える。
しかも、その長さが日ごとに違う。最初は34インチから始まって、39インチ。続いて42.5インチと、徐々に伸びて今週は、ひとまずまた39インチに落ち着いた中尺パターは前回は、お腹につけた打ち方から今週は、お腹につけないスタイルに変えるなどめまぐるしく、それでもなお石川に続いて自身は2番で5メートルのバーディトライが「カップにさえ届かないかも知れない」と、怯えながら打った。
これを辛くも沈めても、不安は去らない。
見かねたキャディさんに、励まされた。
「山下さん、出来ることをコツコツやっていきましょう。全部入れようなどとは思わずに」と諭されて、上がりの3ホールは再三のピンチにも、16番では右バンカーから寄せた5メートルをしのぐなど、どうにか難条件にも67で回って来られた。
「馬に例えるなら良いジョッキーが乗ってくれた」と、好アシストにも感謝しきりの好発進だ。
今年4歳になる長男・泰生くんと、1歳と三ヶ月の長女・春花ちゃんは、かわいい盛り。
「家にいれば、どうしてもかまいたくなっちゃう」。
息子のために、蛙や魚取りに遠出するのもいとわない。ツアーきっての“イクメン”はこのオフ、後ろ髪引かれる思いで積極的に家を出た。
非常に若々しくて、童顔だが今年39歳。「いつまでゴルフが出来るか分からないけれど、やるだけはやってみよう」と、ゴルフに集中するために、あえて「子育てを放棄」して、マレーシアに1週間。あとは谷口徹の恒例の宮崎合宿と、和歌山でもキャンプを張った。
「おかげで2月は1週間しか家にいなかった。理解のある嫁に感謝です」と、頭を下げるだけのことはある。「例年になく、充実したオフが過ごせた」と、開幕からショットは「今までで一番」と言い切るほどだっただけに、なおさらこの2戦はグリーン上でフラストレーションがたまっていた。
「だから、今日はパットが入ってくれたのが一番」と改めてほっと安堵で「このまま心の中も天気になってくれればいいのに」と、2日目は晴れ予報の空を見上げた。
「遼くんは、すがすがしいパットをしている。僕もあんなパットがしたい。馬なりで行きたい」と、2日目も同組の20歳を見習って、強気にいく。