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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2013
3連覇がかかる谷口徹が首位タイ発進!【インタビュー動画】
「ここに来るまでは、そんなの出来るような選手じゃなかったのにね」。というか、むしろ予選落ちさえ覚悟していた。前日の水曜日には「近頃、記憶にないくらいの絶不調」とぼやいていた昨年覇者が、いきなり覚醒をした。
「いや、まだけっして凄い良い点数をつけられるものではないけれど」。珍しく、ちょっぴり殊勝に前置きをしながらも「今日は、久々にゴルフらしいゴルフが出来て。久しぶりにゴルフをしている気分になれました」。
朝は風が吹いて、午後からは強い雨が降りしきる中でも「フェアウェイだけは行っていたので」。向かい風に、距離が残っても宝刀の5番ウッドが冴えて、再三のパーオンにも、次第に気分が乗ってきた。
「パットも、自信的にはまだまだ」とはいいながらも、折り返しの1番では右端から10㍍のバーディトライをねじ込んだ。「良いショットも大事だけれど、それよりも良いスコアで上がって来ないと気持ちも楽しくない」と、いつもの調子づいてきた。
奥さんの亜紀さんに言われたのは先日。「パパ、シード権はクリアしていたんだっけ?」。思わずズッコケそうになった。「今頃そんなことを聞くプロゴルファーの嫁っていますか?!」と、声も裏返った。
そこは堂々と応えた。「そんなのは、5月までの3試合で決まっとるわ!」。
それでも、奥さんがついそう確認したくなるほど近頃は元気がなかったし、9月には4試合連続の予選落ちを喫して、「今週もパパがおうちにいてくれる」と喜ぶ2人の愛娘は可愛いけれど、目尻を下げている場合ではない。
7月の全英オープンで、「世界で戦うにはフェードも必要」と、球筋に凝り始めたことが、不振の始まりだった。元々ドローヒッターは、「フェードを練習すればするほど下手になっていく」。こだわればこだわるほど、成績は下降の一途をたどった。
先週は、日本オープンの会場で青木功に会って、「真っ直ぐ打てれば十分だろう」と言われて、ようやく吹っ切れた。またこの日初日の朝は、アドレスの重心位置を下げて構えることで、本来の安定感が戻ってきた。偉業達成にむけて、軌道修正も整った。
相性抜群の袖ヶ浦で、きっちりと首位発進も、「今までが今までだったから」と持ち前の強気は完全には戻っていない。「今日は、まだ謙虚に・・・」。今日のところはしおらしく言って、会見場を後にした。