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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2013

山下和宏もツアー初Vのチャンス【インタビュー動画】

この日の山下もまた、神がかっていた。まさに、打てば入るというゴルフはなんといっても12番だ。
パー4の2打目は、139ヤードから9番アイアンを握って手前10メートルのエッジに落ちたボールは「寄ってく、寄ってく、寄ってく・・・・・・って、入っちゃった!!」。

手前から6メートルのチャンスを決めた6番のパー5に続く1日2イーグルを奪った男の背中に向かって「山下くん、なんかついてるで」と声をかけたのは、同じ組で回っていた金亨成(キムヒョンソン)のおつきの方。
「え?何がついてる?取って」と慌ててキャディさんに頼んでも、なんにもない。
「・・・ゴルフの神様がついてるで!」。

なるほど、なかなか面白いことを言うと、上機嫌で上がってきた。「これ以上は打てない、というほどショットは完璧」。スタートの1番から6メートルを沈めるなど、チャンスも面白いように決まった。
「良いパーパットにも、助けられました」。8番のパー3は、奥のラフから4メートルに寄せたのを辛くも拾った。「これが大きかった」。

最後も屈指のパー3で、18番は手前の花道からのアプローチを「痺れながら打ちました」と、それでも見事に50センチに寄せて、コースレコードタイの61は、2007年のブレンダン・ジョーンズと、2010年の谷口徹、そして昨年の藤田寛之に並ぶ記録は、「出そうと思っても、出るもんじゃないんですよ」と、そこは爽やかに強調しつつ、自身もまた2009年のこの大会で記録していた63の自己新を塗り替えて、「あの頃よりも、ゴルフの中身はずっと良い」。

遅咲きの40歳は、いまが実りの最盛期。「不安要素もまったくない。明日が楽しみだな」。自身6度目の最終日最終組も、2年連続3度目の出場を果たしたこのツアー最終戦ではこれが初にも、「凄いじゃない?!」。
首位の宮里と同じく、今年最後のこの頂上決戦で、悲願のツアー初優勝がかかるベテランは「でも、ドキドキしちゃう!」と緊張も隠さずに、「今まで特別なことをやり過ぎていたのかもしれないし、明日は優作のギャラリーをしながら、いかに自分のことに一生懸命になれるか。自分に自信を持ってやれるか」。そうだ、山下にはゴルフの神様もついている。



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