谷口徹は、徹底した守りのゴルフで完全優勝

　今回の優勝は、普段の谷口の勝ち方と、少し違っていた。
　持ち前の、攻撃ゴルフを完全封印。
　ゲームの流れを読みながら、「ボギーだけは、叩かないように」最後まで慎重さを、貫いた。
　前週のオフ週に、早起きしてチェックした全米オープンが、きっかけだった。
　「タイガーは、いつも攻めてばかりじゃないと気が付いたんです」
　今季のメジャー2連勝のタイガーを見習って、3打差首位からスタートした最終日は、「パーをしっかり取って、ボギーは叩かない」徹底した守りのゴルフ。

　もっとも、いつもと違うゲームパターンに本人も、戸惑ったのか、1番ホールから「硬さ」が出て、易しいラインの、4メートルのバーディチャンスが決められない。
　「他にも、良いところで決められず。本当なら、もっと楽な展開に出来たはずだったのに…」と、ちょっぴり悔しそうに振り返った。

　最後の最後も、ヒヤリ、とさせられた。
　18番パー５。
　ティショットは「パーを取ることだけを考えて」3アイアンを持った。
　手堅く刻んだはずだったのに、フェアウェーからの第2打は「ヤーデージブックの見間違い」で、あわや、グリーン手前の池ポチャすれすれ。
　2位の丸山大輔が、2打差まで迫っていた。
　1打のミスも許されない場面で、今度は残り118ヤードの第3打を、「手前が嫌だったので、強く入れてしまった…」と、グリーン奥カラーへ。

　下り傾斜の長いバーディパットは、「寄せるようとするとまた、硬くなるから、2メートル以内までいけばいい、という感じで打った」という。

　結局、この日飛び出したガッツポーズは、2打差の逃げ切り優勝が決まった直後の、1度きりだった。
　優勝インタビューの第一声は、「疲れました」だった。
　追われる側のプレッシャーも確かに、あった。
　楽勝、とまではいかなかった今回、初の完全優勝。
　それでも、違うパターンの勝ち星には「勢いよくやりすぎるとミスする可能性も、増えただろうし、今日は攻めと守りで、うまく逃げ切れたかな」と、谷口には、新たな自信も、芽生えたようだった。

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• 谷口 徹
• 丸山 大輔