Tournament article
アコムインターナショナル 2002
「狙いすませたバーディでした」
それまで、じっと耐えに耐えしのんでいた谷口が、ふいにキバをむいたのは、16番パー5だった。
通算15アンダーで並んで迎えた、チャンスホール。
張がティショットをバンカーに打ち込んだのを見てとると、勝負に出た。
(ここでイーグル、最低でもバーディ。確実に取っておけば、あとの2ホールが断然有利)
と読んだ谷口は、ドライバーで会心のティショットを打つ。
残り241ヤードの第2打では、キャディがクリークを勧めたが、谷口は、「いま、もっとも僕に最適」という、得意のバフィーで行くことに決めた。
米ツアーでの経験から、
「飛距離より、上から落とせる高い球が欲しい」
と、スプーンのかわりに入れているウッドは、この日すでに1番、2番、3番、12番でも威力を発揮しており、いずれも「完璧な球が打てていた」ゆえの選択だった。
「ずっと我慢してきて、ようやく、狙いすませたように来た」
ピン根元に落ちた球は、転がって、わずかに奥のカラーにこぼれたが、寄せてきっちりとバーディを決めて、再びリードに成功。
「勝負どころで、あのショットが打てたことが嬉しい」(谷口)
勝機を逃さず、奪い取った1打差が、この日の勝敗を分けることとなった。