Tournament article

中日クラウンズ 2003

『プロゴルファーをやってて良かった』我慢のゴルフで谷口徹が3位タイ

368ヤードと距離が短く、左にドッグレッグしたチャンスホールの1番パー4で、谷口 が蒼白だ。
残り50ヤードの第2打が「フェースの上に当たって飛ばず」手前のバンカーへ。次の バンカーからのショットはグリーンオーバーして奥ラフに打ち込み寄せきれず、カ ラーからのボギーパットも外してダブルボギーの発進だ。

「いきなり汗かく展開・・・(苦笑)。さすがに動揺が3番ホールくらいまで続きまし た。これ以上ボギーが打てない状況でありながら、バーディも欲しいという葛藤で、 前半はほんとうに必死だった」
それでも、強靭な精神力で持ちこたえた。
3日目の和合はさらに難コンディション。「他の選手も苦しいはず。あとまだ35ホー ルある、と自分に言い聞かせて耐えました。失敗は元に戻せないのだから、とにか く、気持ちを切り替えて次の状況を良くするしかない、と」その末に奪った4番パー3 でのバーディで、息を吹き返した。
1打差3位タイ浮上したことよりも、「いらいらする状況で、落ち着いてじっとチャン スを待つことができた」序盤の我慢のゴルフに、谷口は満足そうだった。
昨年末に、頭部血管腫という病気を発病した。さいわい、手術の必要はないとの診断 だったが、精神的ダメージは大きかった。 「ゴルフをしたい」という気持ちさえ持てない時期もあり、「ほんとうに元の状態に 戻れるのか、自分でも自信がなかった」と、このオフの心境を打ち明けた。
それだけに、再び戦える位置に来られた喜びは大きい。 「コースに来れば、嫌なことも忘れられる。ゴルフは楽しいし、プロゴルファーを やっていて良かったな、と今は思えますね」
今シーズンはじめにはいつもの元気がなくて心配された谷口も、やはり持ち前の闘争 本能は以前のまま。 最終日には今季初優勝で、カムバック宣言といきたい。

関連記事