Tournament article
三井住友VISA太平洋マスターズ 2007
谷口徹は2年連続の2位
「入れ返せ、谷口!」。
「やっつけろ!!」。
その声に我に返った。「もう僕に勝ちはない」と、一度は諦めた谷口の背中を後押しした。
グリーン右サイドのラフからの第3打はくしくも2001年。やはりここ御殿場で行われたワールドカップ最終日にタイガー・ウッズが劇的イーグルを決めて、4カ国のプレーオフに持ち込んだときと、ほとんど同じ場所だった。
その快挙をたたえ、まさにウッズがミラクルショットを放ったその位置に埋め込まれた記念のプレートには目をやる余裕もなかったが、「僕のほうが(ウッズより)下りが入っていた分、難しかったかもしれない。いずれにしても、100回やっても入るか分からない場所」。
無理を承知で心に決めた。
入れ返してプレーオフに進む。
「とりあえず頑張ってみよう、と」。
強い決意をこめて打ったアプローチはしかし、わずかにカップ左をそれて止まった。
あと数十センチだった。あまりにも惜しい負け方だった。思わずガクンと膝から崩れ落ちた。「入って欲しかった・・・」。
悔しくて、すぐに立ち上がれない。
そのままラフに寝転んで、呆けたように夕暮れの空を仰ぎ見た。
今週、ドライビングディスタンス3位のジョーンズとのパワーの差を嘆いていたのは3位に後退した前日3日目。
しかし、この日最終日は「飛距離の差をうまくコントロールできていたと思う。確かに飛ぶほうが有利だし、ハンデもあったけど、僕も3打目でバーディが取れていたからね」。
ジョーンズとの大接戦は、16番でバーディを奪って1打リード。
「これで勝った、と思ったんだけど・・・」。
自分の持ち味を生かして一度は手のうちに入れたと思ったが、17番パー3のバーディで追いつかれ、最後の最後に逃げ切られた。
昨年に続く2位にも「仕方ない。僕も良いプレーをしたと思うけど、彼のプレーが光ってた」と、勝者をたたえた。