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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2007

谷口徹の2週連続Vを実現させた陰の立役者とは・・・!?

専属キャディの清水重憲さんと2週連続の抱擁を・・・!
ミスターも聞き入った2週連続の優勝スピーチ。詰め掛けた大勢のギャラリーと、大会に協力してくださったボランティアのみなさんと、スポンサー、コースのみなさんと。
そして、いつもそばで支えてくれる専属キャディの清水重憲さんと・・・。
感謝の気持ちを述べた中に、実はもうひとり加えたい人がいた。

ツアープレーヤーの藤田寛之。

その意外なつながりは、ツアー通算12勝目をあげた前週のウッドワンオープン広島の練習日のことだった。
藤田をあだ名で呼びながら、冗談まじりに谷口が言った。

「一度、ビッケのクラブを打たしてもらおうかな」。
「ぜひ、打ってみてください」。
即座に答えた藤田は、常日頃から思っていた。
「谷口さんのスイングにはうちのクラブが絶対に合う」。
藤田によると、彼が契約を結ぶヤマハのインプレスは「球の捕まりがよく、スピン量をコントールして打つショットメーカー向きのドライバーだ」という。

ずっと「谷口さんのような選手にこそ使ってみてほしい」と考えていたが、差し出がましいような気がして言い出せなかった。
と、ちょうどそのとき程よいタイミングで谷口のほうから「打ってみたい」と言われて、藤田はさっそく段取りをつけたのだ。

「セガサミーの会場で、谷口さんに合うクラブをメーカーに持って来させます」。
しかし、「来週火曜日にコースで打ち合わせましょう」と約束した矢先の今季初優勝に「やっぱりタイミングが悪かったかな」と藤田は落胆した。

「優勝した翌週に、新しいクラブを試そうなんて選手はいない」と、一度は諦めたものだが、そんな不安をよそに、谷口は約束どおり会場のザ・ノースカントリーゴルフクラブの練習場に現れた。

そして、3発打つなり言ったのだ。
「今週、これ使うわ」。
確かに藤田の目から見ても、かなり良い感触だったがそれにしても、今年からフリー契約になったからこそできる大冒険。

さらにあっさりと2週連続優勝を達成してしまった。
この日最終日は66をマークして、11位タイに浮上した藤田は「まさか。僕はただクラブを用意しただけですから」と謙遜しつつ、「貢献できたなら嬉しいですね」と、はにかんだ。

谷口は、「藤田くんに使ってみてください、と言われなければ今週、勝てなかった。・・・何かご馳走しないとね」。
いつになく素直に礼を述べたシリから、いたずらっぽい笑みを浮かべてさっそくいつもの“毒舌”だ。

「しかし、藤田くんはなんであんな良いクラブを使ってなかなか勝てないんだろう?」。

2005年から遠ざかったままの6つ目の勝ち星に「持つ人変われば、クラブも変わる?!」と、散々憎まれ口を叩いたあとに「彼も早く勝たんとね」と、ポツリ。
これぞ谷口流の叱咤激励。これに刺激を受けて、才能を開花させた選手は少なくないのだ。

「ツアーにはまだまだ、良い選手が一杯いる。みんなで競いあって、盛り上げたい」。
その行動も言動も、男子ツアーを心から思う気持ちが一杯詰まっている。
  • ミスター(左)と、里見会長(右)との談笑は至福のひととき。
  • 大会を支えてくださったボランティアのみなさんと、今週も最愛の家族と一緒に…!

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