Tournament article
サン・クロレラ クラシック 2009
山下和宏「最後まで精一杯やることが、僕らのつとめ」
山下の飛距離はキャリーで250ヤードほどだ。今日は飛ばし屋の津曲泰弦と、石川遼に挟まれて、「ちゃんとやれるか」とジョーンズは、山下を気遣ったのだ。
そんなことは、最初から覚悟の上だった。
「今日は“飛ばさない屋”で行こう」と心に決めて、ティオフしたはずだった。
しかし、ショットの不振も手伝って、1番の第1打は木を直撃。フェアウェーに戻ってきたのが不幸中の幸いだったが、しょっぱなから遅れを取った。
「2人に引きずられないように、と思っても、やっぱり知らず知らず力が入った」と苦笑する。「1番は、222ヤードも残ってしまってひやりとした」と振り返る。
ときには2人に50ヤード以上も置いていかれたホールもあって、「ティショットも良くなくて、途中はどうなるかなと思いましたが、そのうちいつかチャンスもある、と」。
ピンチも懸命にしのぎ、どうにかボギーを3つにとどめ、9番を折り返したときにパッティングでひらめいた。
これまでは、パッティンググリーンにロープを張って、そこにフェースを合わせて打ってみたり、鏡の上でアドレスしてみたり、まっすぐキレイに構えることにこだわりすぎていた部分があった。
「もっと感覚的なものに頼ってみたらどうか」との逡巡は、9番でバーディチャンスを外して確信した。
10番で、4メートルのチャンスを決めた。
11番で、3メートルを入れて連続バーディを奪い、12番で5メートルのパーパットをねじ込んで、普段の持ち味が戻ってきた。
たとえグリーンに届かなくてもアプローチとパットでしのぐ。
504ヤードと距離の長い16番パー4は、アゲンストの風。
残り190ヤードの第2打は、7番ウッドで左奧に打ち込んだ。
アプローチは4メートルと、寄せきれなかったがこれを決めた。
小樽のアーメンコーナーをしのいで2打差の2位に踏みとどまった。
最終日はまたしても、飛ばし屋2人と同じ組だ。
今度は、津曲にかわってあのジョーンズが加わる。
因縁の対決?!
いやいや、今度こそは惑わされない。
「明日は自分の目標を設定して、そこに向かってやれればいい」と、マイペースを貫く。
「最後まで精一杯やることが、僕らのつとめ。明日はそれが出来たら満足かな」。
敵は自分の中にいる。