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東建ホームメイトカップ 2010

小田孔明が「ミスター連覇と呼ばれるように」

大会3日目は天候こそ回復したが、最大瞬間風速はこの3日間で最高の13.7メートル(13時現在)。ボランティアさんが持って運ぶ移動式の速報ボードが風にあおられ破壊した。詰めかけたギャラリーのみなさんのキャップが青空をいくつも舞った。
強風にスコアも伸び悩み、最終日を前に大混戦。その隙を突いて、この男がスルリと首位に踊り出た。

昨年覇者の小田孔明が、この日の3アンダーに満足そうに頷く。
「今日の3つは、8アンダーの価値がある」。
5バーディ(2ボギー)の68に、「この風の中で完璧やったっスね」と、自画自賛。

昨年の、賞金ランクのトップ3でまわった大会初日は石川、池田とともに、揃って出遅れた。小田も3オーバーと、予選通過も危ぶまれた。

迎えた翌2日目の16日(金)は、長男・龍亮(たつあき)くんの2歳の誕生日。しかし大きなことが言える順位でもなく、スタート前の電話で「せめて予選は通ってくるよ」と伝えるしかなかったが、いまははっきり言える。

「いいところまで来たから、優勝でお祝いしたい!」。

昨年11月のカシオワールドオープンで、大会史上初となる連覇を達成。狙うものが大きいほど燃えるたち。そこに愛息の記念日が加わるとあらば、燃料は十二分。
「ここまで来て狙わないほうがバカじゃないと言われるでしょう?」。
最終日の見出しも、自分の中ではもう決まっている。
「“ミスター連覇”と呼ばれたい」と、自ら名乗りを上げた。

もっとも、最終日も苦戦は避けられないだろう。
もしまた強風が吹けば、1打のリードなど、まるであってないようなもの。
「明日は30位くらいの選手までチャンスがある」とは、本人も重々承知の上だ。
でもだからこそ、「あとはパットと気持ち次第」と、心に誓った。
「明日もきっとダボやボギーを打つけれど。そこで諦めちゃったらとことん落ちる。明日も、絶対に諦めない気持ちを持ち続ける。絶対に負けない」と、力をこめた。

<参考データ>
・開幕戦の連覇達成は→ベン・アルダの総武国際オープン(1976年)と、ダンロップ国際オープン(1977年)以来。
・日本人選手なら→青木功の中日クラウンズ(1973年)と、日本プロ東西対抗競技(1974年)以来。
※1973年のツアー制度施行後、達成者は現在この2人だけ。

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