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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2011

谷口徹は「へこんでいる暇なんてない」

他の選手たちが谷口の強さについて語るとき、必ず出るのがほぼ100%の有言実行力と、精神力の強さだ。「どんなミスにも顔色ひとつ変えない。谷口さんが、コースで怒っているところを見たことがない」と、声を揃える。

この日は3番のダブルボギーもそうだった。
低い球で、直接ピンを狙った第2打は、前方の木を直撃して、池に沈んだ。

しかし、呆然とする素振りもなく谷口は、すぐに淡々と打ち直しの4打目に取りかかった。

「へこんでいる暇なんてないでしょう」と、谷口はあとで言った。
「最善を尽くした結果、失敗した。そのときは、それが一番と思って打ったんだから。どこに飛んで行こうが、もうしょうがない。ゴルフはミスのスポーツだから、動揺もない。ただ、次のショットに最善を尽くすだけ」と、その分、6番からの3連続バーディで一気に挽回した。

この日は北北西の風に、さらに冷え込みは厳しく、吹きすさぶ風に寒さがいっそう堪えた。しかし、「こんな寒いのは、想像していなかった」と、暖かい上着は持って来ていなかった。

「今からわざわざダウンジャケットを買うのもお金がもったいない」と、冗談交じりに、大会初日の開会式で、選手全員に配られた真っ白なベンチコートを羽織って、43歳が颯爽と歩く。

「今日は昨日より一段、寒かったが、ゴルフの方は、暖かく出来たので」と、ホットなプレーで魅せた。

気温4.8度は、飛距離も出ないし、2打目以降の番手も当然変わるが「それを計算して打つのがプロ。それが出来ないのはただのバカ」と、あいかわらず歯に衣着せぬ物言いで、「ショット自体はパーフェクト。」と胸を張った。
その分、グリーン上には精彩を欠いたというが、「明日からしっかりねじ込んで行きたいと思います」と、すでに賞金王は決定してしまったが、裵相文(ベサンムン)に次ぐ、日本人最上位の賞金ランク2位を目指して闘志満々だ。

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