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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2012

土壇場で手に入れた逆転の出場切符、山下和宏が「まだ行ける!」

今年最後の頂上決戦。「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は今年のツアー優勝者と日本ツアーは国内のみの賞金ランキング25位までの選手にしか出られない。

今季最後の切符は、1年でもっとも活躍した選手の一人であるという証。
誰もが目の色を変える大会である。

シーズンも半ばを過ぎたころからずっと、この権利獲りを公言していた選手がいた。
山下和宏、39歳。
2009年に続く、自身2度目の出場を目指すのには特に、仲間の大活躍が背景にあった。

上平栄道だ。
同じ関西出身で、公私ともに交流が深く、良き仲間でライバルは今年、再三の優勝争いで、早々に今大会の出場権を確実なものとしていた。

「僕も負けられない」。
並々ならぬ思いで、戦いを続けていたが、いよいよそのラストチャンスを迎えた先週のカシオワールドオープンで、開催前の賞金ランキングは28位とまだ“圏外”。
当時、当落選上に位置していたジュビック・パグンサンとの賞金差は、160万円ほど。
抜けない金額ではない。
しかし、たった1試合で狙って到達するには、微妙な差。

それでも山下は最後の可能性に賭けた。
その週、バッグを担いだ児島航さんとの合い言葉は、「山下、まだ行ける!」。
ことあるごとに、2人でそう声を揃えて、踏ん張った。

特に、最終日は連呼だ。
2番でバーディを奪って「山下、まだ行ける!」(山下、児島さん)。
だが3番ですぐにボギーも「山下、まだ行ける!」(同)と、奮い立たせた。
そして、8番で再びバーディを奪い返して「山下、まだ行ける!」(同)。
さらに9番では、12メートルもの長い距離がカップに沈んで、力がこもった。
「山下、まだまだ行ける!!!」(同)。

後半に入って13番では、8メートルのパーパット。これをがっちりしのいで、「山下、まだ行ける!」(同)と、14番でも4メートルをしのいで「山下、まだ行ける!!」(同)と、一気にスパートをかけた。

17番では、手前のバンカーから1メートルにつけて1パットのパーにも「山下、まだ行ける!」と、2人して、声をあげ続けた。

最後の18番はパー5で、パーに終わったのは残念だったが、上がってきたスコア提出場で、今度は関係者に「山下くん、行けるよ」と言われて、オウム返しに「山下、行けた・・・?!」。
関西風(?)のオチは、確かに大会を9位タイで終えて、賞金ランキングは23位に浮上した。
次週の出場権がある、25位内にみごと食い込んだ。

土壇場の“大逆転”で、念願のチケットを手に入れたら「来週こそ、行きますよ!」。
悲願のツアー初優勝にむけて、今年ラストチャンスも“山下、まだ行ける・・・!!”。

※カシオワールドオープンの開幕前にはまだ今大会の出場権がなかった選手には山下のほかに、カシオワールドオープンで2位につけた上井邦浩がいます。

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