記事
谷口徹が優勝祝賀会を開催(12月16日)
雨中の涙、涙のヒーロー会見を、現場で、テレビで目撃したプロたちもみな、もらい泣きをした。
その優勝祝賀会が、12月16日に大阪市内のホテルで行われた。
17時の開宴も、さっそく涙、涙で幕を開けた。
主役の登場に合わせて消灯した大宴会場にはぎっしりと、埋め尽くした350余人の来賓のみなさん。
開扉するなり、その光景に感極まった。
うっすらと目に浮かべた涙を、スポットライトがありのままに照らした。
「まるで結婚式みたいで・・・。緊張しましたし、ほんとにすごく嬉しくて・・・。歳をとると涙腺(るいせん)緩む」と、谷口徹。
「・・・緩むね〜」と請け合ったのは、祝勝会に駆けつけてくれた生涯のライバル。
PL学園高時代は3年間ともクラスが一緒。
「彼は高校時代から、すでにスーパースターでした」と同級生ながら、谷口が今も尊敬してやまない桑田真澄さん。
「僕がデビューした頃にはすでに、ジャイアンツで大活躍だった。桑田くんに負けないように、僕も頑張ろうと思ってここまでやってこられた」と、歓談の合間の座談会で、久しぶりに語り合ってしみじみ・・・。
「谷口くんにはこれからも、勝利に向かって全力で戦ってもらいたい」と、桑田さんからもエールをもらった。
「私でも、50歳を越えてからのメジャー優勝はありませんでした」と乾杯の音頭で最大の祝辞を贈ったのは、JGTO会長のレジェンド青木功だった。
10月に出演したNHKのスポーツ情報番組「グッと!スポーツ」でも衝撃(?)の告白をした。本業のゴルフよりも今、谷口が大切にしているものとは・・・?!
「1番目が家族。2番目が、コブクロさん」。
愛してやまないその美しいハーモニーが、復活Vの何よりのよりどころにもなった。
谷口が大ファンの黒田さんと小渕さんもなんと!この日の祝勝会に、ビデオメッセージで、祝辞を届けてくれた。
サプライズの演出に「まさか・・・」と、絶句。そしてまた涙・・・。
司会進行役の西村麻子・毎日放送アナウンサーを通じて「今度はぜひお食事を」とのお誘いまで受ければ「そんな・・・」と、またまた絶句。そしてまたまた歓喜の涙に、ハンカチ代わりのテーブルナプキンは、もうびしょ濡れだ。
この日は日頃から、谷口が可愛がっている後輩の男女プロたちも駆けつけ最後は全員が登壇して、お祝いムードも最高潮に。
日本プロで、谷口にプレーオフで敗れた藤本佳則もゲストとして華を添えて「あのとき谷口さんはまあ、しつこかった。2度もガッツポーズをされて・・・すごい嫌でした」と、いまさら恨み言を言われてなぜかまた、涙ぐむ谷口。
「泣かしてしまった・・・!!」と、藤本は慌てたが本人はこの歳になってもまだ、若手の壁でいられる。29歳も歳下の藤本に、ぼやいてもらえる。その喜びで胸いっぱい。
弟子の武藤や岩田、小平、大堀ら、ほろ酔い加減の後輩たちが、次々とマイクジャックで絶叫した。
「そんな谷口さんが、大好きです・・・!!」。
参加プロ17人の手で胴上げされて、高々と宙を舞うと一学年下の手嶋多一が、うらめしげに言った。
「僕も5年前に、日本プロで勝ちましたけど、誰一人こんな会を開いてくれなかった・・・。うらやましい限り」。会場の入り口には、丸山茂樹や賞金王の今平から届いた大輪の花輪も飾られていた。
会長・青木もぽつりと「谷口くんが、こんなに世代を超えて愛されているとは・・・」と、驚いていた。
谷口の母校、京都の同志社大学ゴルフ部OB・OG会の主導で盛大に開かれた、この日の祝勝会。
「歴史と伝統の大学がされることは、やはりさすが」と、桑田さんも関心しきりだった。「これに感謝して、ますます恩返しをしていかなければならないね」と、桑田さんに言われて谷口も勿論、と大きくうなずく。
この日は、33人の現役学生のみなさんも会場の最後列のテーブルで、大先輩の勇姿を見つめた。
「いまツアーでは、東北福祉大の子たちがウジャウジャいるけど同志社から出てきた子はまだいない」とそのことが、谷口には不満である。
「うちの大学から早く、強いプロが出てきてほしい」とそうなれば、きっと今度はその子の育成・指導にかかりきり。
その日まで、男・谷口まだまだ現役・・・!!
「若い選手がどんどん育っていく中で、自分も1センチでも、1ミリでも成長したい。若い子に、飛距離では勝てなくても彼らが持っていないもの、それを上回る何かを見せられたらいいなと思う」と、言った。
谷口が、今年得た5年シードを駆使していま最も目指したいのは、もちろん永久シードの25勝だ。
あと5勝。「達成できたらいいな、とは思う。でも、まだまだ遠い目標なので。まずは、21勝目がないことには始まらないと思うので。早く新しい1勝目が欲しいです」。
野望を胸にこれからも、若手と切磋琢磨で感動のドラマを紡いでいく。