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関西オープンゴルフ選手権競技 2010

山下和宏が自身初の単独首位に

うだるような夏の暑さも、この人から笑顔が絶えることはない。不測の事態も、さわやかに乗り切る。前半の18番で、ティショットを大きく右に曲げた。ボールは隣の10番ホールへ。一度、フェアウェイに戻すしかなく、ボギーで折り返した1番ティ。

待てども待てども、キャディさんが来ない。
前半の9ホールも終始、キャディさんを気遣っていたという山下は、「猛暑と、プロのバッグを運ぶという緊張があったんでしょう」と、思いやる。
学生キャディへの交代が告げられた際も、体調不良で“途中棄権”せざるをえなかったハウスキャディさんのことを、最後まで心配していたという。

そんなハプニングにも、プレーのリズムを崩すことはなかった。
むしろ1番パー4で、2メートルのチャンスを決めた。
「良いショット、良いパットでバーディが取れました」。
波に乗り、さらに3つスコアを伸ばして5アンダーは、ツアーでは自身初という単独首位で上がってきた。

先週の日曜日は所属コースのザ・サイプレスゴルフクラブで。そして今週火曜日は、会場に来て、専属コーチの特訓を受けた。
2008年の初シードから再三、優勝争いに絡みながら、まだ未勝利。
「よく、回りから“最終日まではいいのにね”と言われるんです」と苦笑する。
「最後のバックナインで力が入る」。
その改善のため、肩のラインを調整したり、スイングのリズムを見直したり。弱点克服のための課題をいくつか掲げ、臨んだ初日だった。

「今日はその練習のつもりでやりました。ティショットは安定していたし、思ったとおりのプレーが出来たと思う」。

ここ田辺カントリー倶楽部はタイトなフェアウェイに、どの選手も悲鳴を上げるがリーダーだけは、ただ一人「狭いですかね?」と言って、首をかしげる。
ショットの調子が良いから、狭く感じない。
「4日間が終わっても、今年のコースは広かったなあと、そう思えたら良いのですが」。

やはり京都の城陽カントリー倶楽部で行われた2005年大会は、まだツアー外競技だったときのチャンピオン。
大阪府出身の37歳は、「関西の大会で、関西の人間が頑張れればいい」と腕まくり。昨年、18年ぶりにレギュラーツアーに復活した今大会での“2勝目”を、ぜひ記念のツアー初Vとしたい。

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