Tournament article
中日クラウンズ 2010
山下和宏が「打倒・谷口さんで行きます」
シード元年の昨年は幾度も優勝争いに絡んで賞金ランクは18位。
「今年は優勝、と会う人会う人に言われて。僕も、じゃあ優勝だな、と」。
すっかりその気で2010年を迎えたが、「思いと裏腹に、ちぐはぐなプレーが続いてしまった」と、前の2戦を振り返る。
堅実なゴルフで、こつこつと稼ぐのが持ち味だ。
初シードを決めた2008年は、24試合に出場して予選落ちはたった4回。
「まずは確実に決勝ラウンドに進み、週末は確実にトップ20を目指す」という地道な作戦で、トップ70の仲間入りを果たした。
「普段のマイペースを貫いて、今までやってきたことを、続けて行ったら出来るはずなのに。何か別の目標を持つと、違うことをやろうとしちゃう」。
特に開幕戦のグリーンは、マスターズ並みの高速グリーンに1日に3度以上も3パットするなど、パットの不振がショットにまで響き、そのせいで自分を見失いかけたが、「早く自分を取り戻そう」と我に返った。
キャディと二人三脚で、パター時のアドレスやフェースの向きなど、細かなチェックを繰り返し、3週目にしてどうにか立て直してきた。
この日は、早朝の大雨も幸いした。
「和合らしくないグリーンの止まり方をしてくれたので、今日は例年よりも回りやすかった」と開幕3戦目にして、ようやく爽やかな笑顔も戻ってきた。
これからは、もう周囲の声にも惑わされない。
イメージは、先週の谷口徹だ。
普段は何かと、「イジってくる」先輩が、つるやオープンで藤田寛之とプレーオフ3ホールを演じたシーンは、自宅のテレビで見た。
いつも強気で、絶対に自分のスタイルを曲げないゴルフはこのオフの宮崎合宿でも嫌というほど見せつけられたものだった。
「僕も谷口さんみたいにやりたい」。
と、同時に自分も負けられないという闘志もわいてきた。
「谷口さんは、うまさも強さも感じるけれど、すべての面で、僕が劣っているとは思わない。というか、そういう気持ちでやらないとダメなんだ、と」。
改めて、肝に銘じた山下は、「今年は“打倒・谷口さん”で行きます」と、柔和な笑顔にライバル心をたぎらせた。