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Philip Morris Championship 2000

「今日は僕なりに攻守がうまくできたかな」

チャンピオン・谷口徹の戦いぶり

 スタートから、谷口のガッツポーズが炸裂する。
 1番でティショットを右の斜面に打ちこみ、第2打もグリーン右のラフ。そこからアプローチで手前4メートルのパーパット。
 これを沈めて1発目。

 2番では、ピン左5メートルのバーディチャンスを決めて2ホール連続のガッツポーズ。

 「1番はあんなところに行ったけど、ちょうどアプローチ、パットの練習ができていいな、くらい。パットも調子よかったしね。パンと打ったら入って、あれがいい練習になったかな」(谷口)。

 じっとパーで耐える片山晋呉を尻目に、6番で5メートル。8番では10メートルのバーディチャンスを決めた。

 この日の朝、距離の短いパットを打つときにアドレスで、かがみすぎていることに気がついた。すぐに、上体を若干、起こし気味で構えるように修正。スムーズに手が動くようになった。

 また、「ABCは、ピン奥につけてはいけない。必ず、5,6メートルの上りのパットを残すように心がけた。そこをめがけて打った。むちゃくちゃな攻めはしなかった」コースマネジメントを貫き、9番パー4では1,5メートルのバーディパットを沈めて、またもやガッツポーズ。逆転に成功した。

 14番で片山がようやく、この日初のバーディを取るとゲームが動きだした。

並ばれて逆転、そして、再逆転を経て、谷口が1打リードで迎えたラスト18番パー5。
 ティショットを右バンカーに打った谷口は、刻んで3打目勝負。
 片山は、右セミラフからの第2打を、果敢に狙う。

 「片山君のイーグルでプレーオフか、と思った。それほど彼のセカンドショットはいい当たりだった。でも僕は、とにかくバーディを取るしかすることはないと思った」

 片山のセカンドはいったんグリーンを捕らえたが、跳ねてグリーン奥へ転がり落ちた。
 谷口の第3打は、ピン左4メートル。

 先に打ったバーディパットをはずし、片山の2メートルのバーディパットを待つ。
 入れば、タイでプレーオフだ。

 片山のパットがはずれたのを見届けると、谷口は、ホッとした表情で天をあおいだ。

 「18番のティショットは、硬かった。フェアウェーを捕らえようという意識が強すぎた。もう少しフェードを打つとか、決め打ちをすればよかったけど、左を嫌いすぎて、ヘッドが出にくかったんです。相手にイーグルが出ない限り、18番はフェアウェーに置いておきさえすれば勝てる。勝負ホールと思っていたのに…。うまく打って右に乗っけておけばいいものを、相手にチャンスを与えてしまった。あのティショットがちょっと反省かな。

 でも今日は、最後まで冷静な判断ができたと思う。精神的な乱れがなかった。16番で 片山君がバーディを取っても、僕は負けないと思った。自信があった。
 守る、攻めるの攻守は、僕なりにうまくやれたと思う。
 これからもっともっと努力して、競り合ったときでも必ず勝利をモノにする強いプレーヤーになりたい。今、うまい選手というのはたくさんいるけど、本当に強いというのはタイガーと、少し前のジャンボさんくらい。僕も、ああいうゴルファーになりたいと思う」

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