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ダンロップフェニックストーナメント 2008

近藤智弘が単独首位に

正直言って、フェニックスに良い思い出はない。松林にセパレートされたシーサイドコースは、その難しさに「来るたびに自信を無くしてしまう」と近藤はいう。

なぜか毎年、必ず体調を崩す場所でもある。

トーナメント期間中ばかりか、今年2月にここでオフキャンプを張ったときにも具合が悪くなり、練習場のすぐ近くにある市民の森病院は、もはや宮崎滞在中の“かかりつけ医”になってしまった。

ちゃんと診察券も持っている。
今週も会場入りするなり風邪を引き、医者には「また来られたんですか」と、言われたほどだ。

熱はそれほど高くないが、体がだるく、声はガラガラ。
ほとんど練習も出来ず、「いったい宮崎に何しに来たんだ」と思わず自分に突っ込んだ。

コースの難解さと体調不良。
2つのハンディに今週は、「どうやっても前を向けない状態」。
ひとかけらの期待も持てなかったのに、いざ蓋をあければ2日目に単独首位だ。
しかも、ボギーは初日とこの日でたったの2つ。
「ひとつバーディが取れただけでも凄く嬉しいコースなのに」と本人も首をかしげるやら、喜ぶやら…。

今週、初めてタッグを組む中居謹蔵さんは、長く青木功の専属キャディをつとめたこともある。
その道で経験も実績もあるベテランにどっぷりと身を任せ、「1日1個のバーディなら最高だ」を合い言葉に謙虚にホールを重ねていることが結果をもたらしているのだろう。

今年は5月の中日クラウンズでツアー通算4勝目を飾ったものの、夏場に足底筋膜炎を発症し、まずは治療に専念するしかなかった。
「今年は初めの3試合で終っちゃったとヘコんだ時期もあった」というが、膝や背筋痛などあちこちに故障を抱えながらトップを走る片山晋呉には「俺なんか、15年くらい痛て〜よ」と励まされ、「自分だけじゃない。完璧な状態で戦っている選手など誰もいない」と、気を取り直した。

世界ランカーが集うこの国際試合で優勝争いができるまでに立て直してきた。
不安材料を抱えながらの戦いに、「いつまで続くか分らないけど」と苦笑しつつ、「明日からまた、ひとつずつバーディを増やしていきたい」。
週末を前に、ようやく前を向いた。

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