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キヤノンオープン 2009

山下和宏は、3打差の3位タイに

中嶋常幸と、谷口徹と臨んだ自身2度目の最終日最終組に、涙を流したのは9月のANAオープン。
もともとスタート時に谷口と5打差をつけられていたこともあり、優勝は半分諦めていたとはいえ1番から2連続ボギーを打って、あまりにも早く戦線から脱落した。

それに引き替え中嶋の戦う姿勢はどうだろう。
「最後まで“なんとかしてやろう”という感じだった。僕みたいにバーディが取れればいいと思っているだけじゃない。執念みたいなものを、ひしひしと感じた。格好良かった」。

結局、山下もこの日1アンダーまで盛り返し、中嶋と並んで自己最高の2位につけたが「僕はまだまだ甘かった」。
中嶋のように、戦いきることが出来なかった不甲斐なさに、泣けてきたという。

同時に、これからの自分を見直す好機となった。
「中嶋さんの、全身全霊をゴルフに賭ける姿勢やひたむきさ・・・。自分も、笑っているだけじゃ、ダメなんだと」。

かといって、「ただがむしゃらに、中嶋さんを真似すればいいというものではないと分かっている。僕は僕らしく、どう勝負と向き合うか」。
そして、それはやっぱり優勝争いの中で、体得していくしかない。

あれから3週後に、またこうして優勝争いの渦中に身を投じた今回こそ、自分を試す絶好のチャンスでもある。

身もだえするようなあの悔しさにあっても、心強かったのは中嶋のこの言葉だ。
「スタートで連続ボギーを打って、山下はこのあとどれだけ崩れちゃうんだろう、と思っていたけれど。よく帰ってきた。ナイスカムバックだ」。
そんなねぎらいにますます痺れた山下は、あとで知人に「中嶋さんは、本当に格好良かった」と力説していたら、チクリと言われた。

「“かっこいい”と言っている間はまだまだ。中嶋さんを抜くことはできないよ」。
そんな激励に大きく頷いたという山下は、3打差の3位タイからスタートするこの最終日に、どんなゴルフを見せてくれるか。

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